2024年1月に劇場鑑賞した映画パンフレットをまとめて紹介します!
1月は6作品を劇場鑑賞しましたよ。
本当なら1冊1冊ちゃんと丁寧に紹介したいところですが貧乏暇なし。1冊のレビューに割ける時間が限られている現状を嘆きながら、各パンフレットの魅力を少しでも多く伝えていきたいと思います。
では、最後までお付き合いください。
いってみましょう!
2024年1月に購入した映画パンフレット
ファースト・カウ
まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
あらすじ
舞台は1820年代、西部開拓時代のオレゴン州。アメリカンドリームを求めてやってきた2人の男は意気投合。男たち2人はこの地に初めてやってきた「富の象徴」である牛からミルクを盗み、ドーナツをつくって一攫千金を狙うが…
では、『ファースト・カウ』のパンフレットを見ていきましょう!
パンフレットレビュー
デザイン
まずはこの表紙のインパクト。裏表紙にまで続く本作のキーパーソンならぬキーアニマルである牛さんの顔のどアップ。ちなみに牛さんの名前はイーヴィー。
そしてなんと、イーヴィーの目の部分に穴が空いているという斬新な仕掛け。
イーヴィーはすべてを見ているよ、お見通しだよとでも言っているかのような表紙デザインには脱帽です。良い!すごく良い!
中面は全ページの背景に全面写真が敷かれているというこれまた大胆なデザイン。印刷ではかなりのインクが使われたと思うので、コスト的に大丈夫だったのかな…なんて余計なお世話なことまで考えてしまうくらいに濃厚な中面。
全ページの背景に全面写真が敷かれているけど、文字量としてはそれほど多くないし、十分に余白が取られているので圧迫感は無くとても読みやすいです。(ちょっと文字が読みづらいところもあるけどまぁ許容範囲かな。)
穴の周りに文字が配置されていたりして、この穴がデザインのアクセントになっているのも素晴らしいです。穴の部分がドーナツの穴に見えなくもないような。
大胆かつ繊細で、デザイン的にとても優れているパンフレットです。
内容
内容的には、4ページにわたるケリー・ライカート監督のインタビューやレビュー&コラムが5本、ライカート監督に関する作品紹介などが掲載されていて、かなり読み応えがあります。
特にライカート監督のインタビューはおもしろかったです。撮影のことや本作の時代背景(文化やコミュニティとか)、そしてライカート監督の考えなどを深く知ることができるので、読むと本作への理解度が深まるし、知識も得られるので、なんだかちょっと頭が良くなったような気がしたり。ま、気のせいだと思うけど。
コラムでは、本作の時代設定である西部開拓期のことや、ケリー・ライカート監督に関することが詳しく書かれています。特にケリー・ライカート監督に興味を持った方にはぜひとも読んでいただきたいですね。
デザイン、内容ともにクオリティの高いパンフレット。惜しい点を強いて言えば、キャストインタビューが無かったところかな。せめてクッキー役のジョン・マガロとキング・ルー役のオリオン・リーのコメントは読みたかったな。まぁ、ライカート監督の作家性が売りの作品なので、仕方ないところではあるけど。
トーク・トゥ・ミー
まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
あらすじ
呪われているという“手”のかたちをした置物を握って「トーク・トゥ・ミー」と唱えると霊が憑依するという SNSで話題の「90秒憑依チャレンジ」に参加する主人公ミアと仲間たち。そのスリルと快感にのめり込みチャレンジを繰り返すミアたちだったが、そのメンバーの1人に霊が憑依してしまい…
では、『トーク・トゥ・ミー』のパンフレットを見ていきましょう!
パンフレットレビュー
デザイン
カバー付きのパンフレット。カバーが本作のキーアイテムである手の呪物に型抜きされています。その型抜きされている部分から、パンフレット本体の表紙に描かれている模様が見えることによって手の呪物が立体的に表現されるという、なんともお見事なギミック。こういうの好き。好き!
外したカバーの裏面には、これまたキーアイテムである蝋燭が。本作のあやしさが一目で表現された表紙デザイン。アイデアが秀逸!もうこれだけで買ってよかったなぁなんて嬉しい気持ちにさせてくれます。
そして、中面のデザインがこれまた良い!装飾の施された重めの飾り罫と癖のある明朝体(書体)で構成されていて、そして1色刷り。この組み合わせが見事で、なんて言うんですかね、古書のような魔導書のようなあやしげな雰囲気があって、本作の世界観とマッチしていてすごく良いんですよ。
表紙も中面も素晴らしすぎてデザイン的に言うことなし。なし!
内容
監督インタビューやプロダクションノートやコラムなど、押さえるところはしっかりと押さえていながらそこにオリジナリティのあるコンテンツも掲載されている点がポイント高いです。
「“手”のトリセツ」ページは遊び心があって良かったし、永田よしのりさん(映画よろず屋)の「世界の憑依・降霊術紹介」ページはマニアックでおもしろかったです。はやせやすひろさん(都市ボーイズ)と田中俊行さん(不思議大百科)の「呪物コレクター対談」もこれまたマニアックで、呪物への向き合い方みたいなことがわかってためになりますよ(なるのか?)。
ちなみに呪物を使うには厳格なルールがあるようです。くれぐれも虎杖悠仁のように呪物、それも特級呪物の指を食べるなんてことはしないように(呪術廻戦を読んでない人はなんのこっちゃでごめんなさい)。
惜しいのはキャストインタビューが無かった点。本作の「90秒憑依チャレンジ」は薬物のメタファーなので、若い俳優さんたちがどのような思いでそれぞれのキャラクターを演じていたのか知りたかったところではあります。せめて主人公ミアを演じたソフィー・ワイルドくらいはインタビューやコメントを掲載して欲しかったと個人的には思いましたよ。
ケースの仕掛け、デザイン、内容と、かなりクオリティの高いパンフレット。降霊術や呪物の知識も増えるので、読み物としても楽しく読めますよ。
ある閉ざされた雪の山荘で
まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
あらすじ
新作舞台の主演の座を争う最終オーディションの招待状が届いた劇団に所属する役者7人。最終オーディションが4日間の合宿で行われ、その合宿中に1人また1人と参加者が消えていき、参加者たちは互いに疑心暗鬼に陥っていく…
では、『ある閉ざされた雪の山荘で』のパンフレットを見ていきましょう!
パンフレットレビュー
デザイン
良いとか悪いとかではなく、迷走したんじゃないかなぁなんて思わせるようなボヤッとした印象の表紙デザイン。ネタバレ禁止案件なので詳しくは書けないけど「雪の山荘」で来たか、という感じ。デザイナーさんは苦労したんじゃないでしょうかね。
中面は作品のシリアスな世界観とは違って、ややエンタメ寄りといいますか、ポップとまでは言わないけどクッキリと、ハッキリとしたデザインになってます。今をときめく売れっ子俳優さんが出演しているので、もっとオシャレなデザインでくると思ってましたが、ちょっと意外でした。
内容
重岡大毅さんと間宮祥太朗さんと中条あやみさんの「キャスト対談」が4ページにもわたって掲載されていたり、キャストそれぞれの「Q&A」が掲載されていたりと、キャストが全面に出ていて、デザイン同様に作品のシリアスさとは逆で、にぎやかな内容になってます。
プロダクションノートでもキャストに関することが結構書かれているので、本作に出演している俳優さんのファンの方はより楽しく読めるんじゃないですかね。
飯塚健監督のインタビューが無いのはちょっとびっくりで残念。プロダクションノート内で飯塚健監督のコメントはあるけど、単独インタビューやコメントが無いのは、パンフレットとしては珍しいかも。
東野圭吾原作で、なかなか豪華な俳優陣が揃ったにしては、デザイン・内容ともに、無難なパンフレットに仕上がったような。キャストの楽し気な雰囲気が伝わってくるので、サービス精神が旺盛なパンフレットではあるかも。
ゴールデンカムイ
あらすじ
舞台は明治末期の北海道。アイヌ民族から強奪された莫大な金塊をめぐり、「不死身の杉元」との異名を持つ杉元佐一とアイヌの少女アシリパ、鶴見中尉率いる大日本帝国陸軍第七師団、新選組「鬼の副長」土方歳三らの三つ巴のサバイバル・バトルが展開される…
パンフレットレビュー
『ゴールデンカムイ』のパンフレットレビューはこちらからどうぞ。
サン・セバスチャンへ、ようこそ
まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
あらすじ
かつてニューヨークの大学で映画を教えていたモートは、映画の広報を担当している妻とサン・セバスチャン映画祭へ参加。妻とフランス人監督との浮気を疑い、妄想癖のあるモートはストレスでダウン。診療所で診察してもらった魅力的な医師にモートは好意を抱くが…
では、『サン・セバスチャンへ、ようこそ』のパンフレットを見ていきましょう!
パンフレットレビュー
デザイン
表紙はマットな紙に金の箔押しで『サン・セバスチャンへようこそ』。その下に三角フラッグのガーランド。可愛らしくてちょっぴりオシャレな感じは本作の雰囲気にぴったり。マットな紙なので傷や汚れが目立つので取り扱い注意。
ポップな色使い&書体&イラストなど、中面も表紙同様に可愛らしいデザイン。三角フラッグのガーランドや三角フラッグをモチーフにした三角の柄が全体的に使用されています。可愛い!
ポップで可愛らしいんだけどオシャレさもあって、そのさじ加減が絶妙。表紙同様に中面も作品の雰囲気がうまく表現されていますよ。
内容
監督やキャストの単独インタビューやコメントの掲載は無しという、なかなか珍しい映画パンフレットです。
ウディ・アレン監督の経歴であったり、フィルモグラフィーやアカデミー賞受賞歴(ノミネート含む)が見開きで紹介されていたり、本作でオマージュされた9作品が紹介されていたり、かなりウディ・アレン色が色濃く出ている内容。名匠や巨匠作品の映画パンフレットによくあるパターンですね。
とはいえ、せめてウディ・アレン監督のインタビューくらいは掲載して欲しかったです。
もっと言うと、そんなに多くのキャストが出演しているわけじゃないんだから、キャストのコメントも掲載して欲しかったな。
サン・セバスチャンの街の紹介ページはちょっぴり楽しい気分にさせてくれて良かったです。こういうヴィジュアル的に楽しいページがあると、パンフレットに変化が出て飽きがこなくていいんですよね。ま、僕はサン・セバスチャンに行くことは絶対に無いけど(飛行機が嫌いなので)。
本作の可愛らしくてオシャレな世界観がよく表現されたパンフレット。内容的には少し物足りなさはあるけど、デザイン的には僕の好みではあるので、買って良かったなって思いましたよ。
哀れなるものたち
まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
あらすじ
自ら命を絶ったものの、天才外科医に胎児の脳を移植され蘇生したベラ。世界を自分の目で見たいというベラは大陸横断の旅に出て、様々な人と出会い経験し、驚くべき成長を遂げていく…
では、『哀れなるものたち』のパンフレットを見ていきましょう!
パンフレットレビュー
デザイン
安定・安心のサーチライト・ピクチャーズのパンフレット。特殊な加工や仕掛けは無いけれど、ファッション誌(装苑みたいな。違う?)のような雰囲気のデザインで、クオリティはとても高いです。
いい意味で型にハマっている作りなので、本作『哀れなるものたち』のようなクセのある作品のパンフレットととしては丁度良いような気がしますよ(クセが抑えられるという意味で)。自由度の高いパンフレットだと、生々しいデザインになりそうな気がしたりしなかったり…。
内容
主演のエマ・ストーン×ヨルゴス・ランティモス監督の6ページにもわたる濃ゆいインタビュー、ダンカン役のマーク・ラファロ×バクスター博士役のウィレム・デフォーのインタビュー。ヘアメイクや衣装など様々な角度からの特集ページ。そして清水崇監督をはじめとする6名もの方々のコラムやコメント(とかイラスト)など、もうね、盛りだくさん。これで税込940円なんて安い。お買い得!
まさに安定・安心のサーチライト・ピクチャーズのパンフレット。それ以上でもそれ以下でもありません(笑)。クオリティも満足度も高いです。作品に興味を持ったら即買いです。損はしません。
まとめ
1月は『ファースト・カウ』『トーク・トゥ・ミー』『ある閉ざされた雪の山荘で』『ゴールデンカムイ』『サン・セバスチャンへ、ようこそ』『哀れなるものたち』の6作品を鑑賞、そして6冊のパンフレットを購入しました。
この中で1冊オススメするとしたら『トーク・トゥ・ミー』ですね。『ファースト・カウ』も『ゴールデンカムイ』も素晴らしかったけど、やはり『トーク・トゥ・ミー』ですね。ケースの仕掛けとパンフレットの雰囲気がマッチしていて、デザインがとても素晴らしかったし、内容も遊び心があっておもしろかったです。
『トーク・トゥ・ミー』が気に入ったならばパンフレットは買うべし!
では、2月も映画ライフ、パンフレットライフを楽しみたいと思います。いや、一緒に楽しみましょう!