映画パンフレットレビュー。石原さとみ主演!吉田恵輔監督作品『ミッシング』

邦画

ある日、沙緒里の娘が行方不明になる。懸命な捜索もむなしく3ヶ月が過ぎ、世間の関心が少しずつ薄れていく。唯一取材を続けている地元テレビ局に頼るも有力な情報は得られない。そんな中、沙緒里はネット上で誹謗中傷の的になってしまい、心を失っていく…

『ヒメアノ~ル』『BLUE ブルー』『空白』の吉田恵輔監督が石原さとみを主演に迎えたヒューマンドラマ『ミッシング』のパンフレットを紹介します!

レンツ
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石原さとみさんをはじめとする俳優陣や吉田恵輔監督の思いが伝わってくる内容充実のパンフレットです。厚みがなんと8mm!もはや書籍!萌えます!

ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:148mm × 210mm(A5)
  • ページ数:100ページ
  • 発行承認:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社
  • 編集・発行:松竹株式会社 事業推進部
  • 編集:阿部寛子、石川天翔(松竹)
  • テキスト協力:那須千里
  • デザイン:松田政門
  • 印刷:共同製本株式会社
  • 発行日:2024年5月17日
  • 定価:1,200円(税込)
パンフレット掲載内容
  • Introduction
  • Story
  • レビュー/SYO(物書き)
  • 人物相関図
  • キャストインタビュー/石原さとみ、青木崇高、中村倫也
  • キャストコメント/森優作、小野花梨、細川岳
  • キャスト紹介
  • 吉田恵輔監督インタビュー
  • 吉田組ワークショップ
  • ドキュメント/吉田恵輔
  • ドキュメント/石原さとみ
  • インタビュー/志田貴之(撮影)
  • インタビュー/世武裕子(音楽)
  • スタッフ紹介
  • 『ミッシング』シナリオ決定稿
レンツ
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では、『ミッシング』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!

デザインレビュー

表紙デザイン

A5サイズ(148mm×210mm)の小型パンフレット。

ラストの印象的なショットを表紙と裏表紙の全面に配置(裏表紙に映る歩行者信号を見ればわかりますよね。あのシーンです)。表紙の下方に白文字で「missing」。実にシンプル。

レンツ
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光の具合と沙緒里の目線を見ると、希望を感じますよね。すごくいい表紙デザイン!

そして、特徴的なのはこの厚み。8mmもあります。「シナリオ決定稿」が36ページほど占めるとはいえ、かなりボリューミーなパンフレットです。

中面デザイン

白地ベースで文字はほぼ黒(数箇所だけブルーグリーンが使用)。プロフィールにゴシック体が使われてますが、それ以外は明朝体が使われてます。

本文の行間はしっかりとられているし、紙面全体としての余白もしっかりとられているので、気持ちよく読み進められますよ。

写真はすべて角版で、比較的大きめに掲載されています。(パンフレットに作中の写真が掲載されるのは、作品の雰囲気を感じられて本来嬉しいことではあるはずなんですけど、本作の内容を考えるとちょっと複雑。特に沙緒里と娘の美羽のツーショット写真を見るのは少しつらい…。)

レンツ
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デザインはシンプル、内容は充実。可読性が高く、全体的にクオリティの高いパンフレットですよ!

コンテンツチェック

レンツ
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では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

「キャストインタビュー(コメント)」「吉田恵輔監督インタビュー」「ドキュメント/吉田恵輔」「ドキュメント/石原さとみ」「吉田組ワークショップ」「シナリオ決定稿(脚本)」など、充実した内容になってます。

キャストインタビュー

石原さとみさん、青木崇高さん、中村倫也さんはインタビュー形式で、森優作さん、小野花梨さん、細田岳さんはコメントという形で掲載されてます。

「命が削られる思い」「自分が崩壊しそうなくらい苦しかった」という強烈な言葉が飛び出すほどにしんどい撮影だったことが容易に想像できる石原さとみさんのインタビュー。

レンツ
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インタビューに答えるというか、吐露に近いような感じが個人的にしました。

そんな精神的に削られる撮影でも、夫役の青木崇高さんの優しさや、地元テレビ局の記者役の中村倫也さんにかけられた言葉に救われたようなことをおっしゃっていて、作中の役柄同様、お二人が石原さとみさんに寄り添っていたんだなぁなんて、ちょっと感動的でもありました。

インタビューの最後は石原さとみさんに光が差し込んできたような、沙織里とシンクロするような、とても前向きな気持ちを感じ取れました。この経験をどのように生かすのか、今後の石原さとみさんの活躍がより楽しみになりましたよ。とてもいいインタビューでした。

石原さとみさんを夫役として、共演者として、心の拠り所になってたであろう青木崇高さんのインタビュー。もうとにかく夫の「豊」そのままのような優しさに溢れている受け答えで、めちゃくちゃ素敵でした。

石原さとみさんの圧倒的な演技に注目が集まるけど、青木崇高さんの優しさがあったからこそ本作が成り立ったんだと、このインタビューを読んで思いましたよ。

そして、このインタビューの最後に「この映画がたどり着いた先にあるものとは?」という問いに対する青木崇高さんの回答がもう最高で、これが正解でしょ!と納得しちゃいました。このインタビューを読めば青木崇高さんのファンになること間違いなし。

石原さとみさん演じる沙織里は難役なのは間違いのないことなんですけど、中村倫也さん演じる砂田もかなり難役。

「吉田監督の思い描くものを、どのように受け止め反映していきましたか?」という質問に対する中村倫也さんの回答がこれまたいい。

中村倫也さんが演技プランのようなことを語るんですが、僕が観て感じた砂田そのままでした。中村倫也さんが思い描いた砂田像は間違いなく観客に届いてました。届いてたよ!って中村倫也さん本人に伝えたいくらい見事に届いてました。役への理解度、作品への理解度の高さはさすがだな、と。

個人的には、中村倫也史上もっとも好きな演技でした。

石原さとみさんたちと同様に、森優作さん、小野花梨さん、細川岳さんも、ご自身が演じる役にしっかりと向き合っていたことがよくわかるコメントでしたよ。

レンツ
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皆さんの熱演、素晴らしかったです!ありがとう!

吉田恵輔監督インタビュー

この物語を作ろうと思った理由、石原さとみさんのこと、キャスティング(キャラクター)、マスコミ、どのような物語にしようと思ったのかなど、この作品への吉田恵輔監督の思いのようなものが伝わってくるインタビューで、とても読み応えがありました。

本作を観て、沙織里や夫の豊、そして記者の砂田をはじめ、登場人物に共感するところが多くて、とても人物描写がうまいなぁなんて思っていたんですが(人物描写に長けた監督だと前々から思ってはいましたが)、登場人物やマスコミに関する吉田監督の言葉を読むと納得。かなり細かいところまでよく考えられていて、だからあのような共感できるキャラクターが描かれるんだなと思いました。

そして、インタビューの最後には吉田監督の本作への(大きく捉えると世の中への)強い思いが語られているんですけど、ちょっと感動的で、世の中皆が吉田監督のような思いを持っていれば間違いなく世の中は変わるよな、なんて思いました。

吉田恵輔監督の頭の中を少しばかり覗けるインタビューで、とても読み応えがありましたよ。今後の作品も期待したいですね。

ドキュメント

吉田恵輔監督と石原さとみさんのドキュメンタリーが、それぞれ4ページずつ掲載されてます。撮影時のお二人のエピソードが詳細に書かれていて、めちゃくちゃ読み応えがあります。

吉田恵輔

物語の構想が生まれた経緯、主演に石原さとみさんをキャスティングした理由、試行錯誤しながら進めた撮影中のエピソードなどが、吉田監督側からの目線で詳細に掲載されてます。

吉田恵輔監督の石原さとみ評(大絶賛!)もおもしろかったんですが、特に興味深く読んだのは撮影に関するところ。

とても印象的だった警察署での地獄のようなシーン(胸糞悪かった!)と、沙織里と圭吾(森優作)が車中で感情をぶつけ合うシーン(感動した!)の裏側がしっかりと言及されているのは個人的に嬉しかったです。

あの緊迫感のあるシーンがどのようにして生まれたのか、めちゃくちゃ興味があるじゃないですか。想像以上に難しい撮影だったことがわかり、あらためて石原さとみさんをはじめとする俳優陣と吉田監督、スタッフさんたちに敬意を表します。だって、ホントにいいシーンだったので。

石原さとみさんとともに苦難を乗り切った吉田恵輔監督のドキュメンタリー。必読です。

石原さとみ

吉田恵輔監督へアプローチした6年前のこと、衣装合わせ、粘り強くテイクを重ねた撮影中のエピソードなど、石原さとみさんの苦闘が伝わってくるドキュメンタリー。撮影の過酷さが垣間見られて、もうね、石原さとみさんに拍手を送りたい。

吉田監督も石原さとみさんも勝負だと感じていた「砂田たちが沙織里の家にきてロングインタビューを撮る」シーンの試行錯誤っぷり、悪戦苦闘っぷりがもうリアリティがあり過ぎて、身につまされるような思いで読みました。

妥協せずに撮りきったからこそあの素晴らしいシーンが生まれたんでしょうね。

「心身ともに削られているのに満たされている」という石原さとみさんの言葉が終盤に出てくるんですけど、この言葉がすごいなと。沙織里を演じるなかで精神は削られていくけど、このような経験を望んでいた俳優としての石原さとみさんの心は満たされている、ということなんでしょうね。グッときました。

本作を観て、さらにこの文章を読んで、石原さとみさんの気概を感じました。特にファンということはなかったのですが、これからは積極的に出演作品を観ることになるだろうな、と思いましたよ。

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このページの最後に「BLANK」のTシャツを着た沙織里と美羽の笑顔の写真が掲載されているんですが、これがまた泣けるんです…。

総評

デザインはシンプルですが、作中の写真が大きめに掲載されているので本作の雰囲気が十分に伝わってくるし、キャスト陣や吉田恵輔監督のインタビュー、ドキュメントと題した吉田監督と石原さとみさんの撮影エピソード、シナリオ最終稿など、厚さ8mmにも及ぶ書籍のようなボリューム満点の内容。可読性が高く、全体的にクオリティの高いパンフレットです。

お金を出して買う価値は十分すぎるほどにありますよ。

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これが1,200円(税込)で購入できるとは!お買い得!

とても辛い内容の作品ですが、本作のことをもっと深く知りたい方や、石原さとみファンの方、石原さとみさんの命を削るような撮影の日々を感じたい方に、自信をもってオススメできるパンフレットです。

そして何より本作『ミッシング』を気に入ったそこのあなた、絶対に買ったほうがいいですよ。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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