映画パンフレットレビュー。アニャ・テイラー=ジョイ主演!『怒りのデス・ロード』前日譚『マッドマックス:フュリオサ』

邦画

世界の崩壊から45年後。故郷や家族、すべてをならず者たちに奪われたフュリオサは狂気に満ちた世界と対峙し、復讐のため、故郷に帰るため、人生を懸けて地獄の道を突き進む…

2015年に公開され、熱狂的なファンを生んだジョージ・ミラー監督のアクション作品『マッドマックス:怒りのデス・ロード』に登場した女戦士・フュリオサの若き日の物語を描いた『マッドマックス:フュリオサ』のパンフレットを紹介します!

レンツ
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パンフレットを持った瞬間に勝ちを確定させたボリューミーなパンフレット!だって、68ページもあるんだもの!萌えます!

ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:180mm × 297mm(長方形横型)
  • ページ数:68ページ
  • 発行承認:ワーナーブラザース ジャパン 合同会社
  • 編集・発行:松竹株式会社 事業推進部
  • 編集:石川天翔(松竹)
  • テキスト:P6~9、P55~63/ギンティ小林(ライター)、P10~16、P50~54/市川夕太郎(ライター)
  • テキスト協力:神武団四郎(映画ライター)
  • デザイン:川上圭三(川上デザイン室)
  • 印刷:株式会社久栄社
  • 発行日:2024年5月31日
  • 定価:1,100円(税込)
パンフレット掲載内容
  • INTRODUCTION
  • フュリオサについて
  • キャラクター紹介
  • STORY
  • 車両紹介
  • フュリオサが生きる世界
  • キャストインタビュー/アニャ・テイラー=ジョイ
  • キャストインタビュー/クリス・ヘムズワース
  • キャストコメント/トム・バーク、ラッキー・ヒューム、アリーラ・ブラウン(プロフィールのみ)、チャーリー・フレイザー
  • インタビュー/ジョージ・ミラー監督
  • インタビュー/ダグ・ミッチェル(製作)、コリン・ギブソン(美術)、サイモン・ダガン(撮影)、アンドリュー・ジャクソン(視覚効果監修)、ジェニー・ビーバン(衣装)、P・J・ボーテン(第1助監督)、ガイ・ノリス(アクション考案)、トム・ホルケンボルフ(音楽)、ロバート・マッケンジー(サウンド・デザイナー)
  • スタッフプロフィール
  • 帰ってきた『マッドマックス』マニアックス
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では、『マッドマックス:フュリオサ』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!

デザインレビュー

表紙デザイン

180mm×297mmの長方形横型パンフレット。

爆炎(煙)の中を走るバリアントをバックにした凛々しいフュリオサと自信満々のディメンタス。これ以上のヴィジュアルはないでしょ!っていうくらいに100点満点の表紙デザイン。

レンツ
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『フュリオサ』の世界観が表現された表紙デザイン。かっこいい!

中面デザイン

ほぼ余白がないくらいに写真と文字がぎっしりと詰め込まれた迫力のある中面デザイン。

本文(日本語)はシンプルな明朝体とゴシック体が使用されてますが、英字部分には特徴のある書体(人が書いたような崩した書体など)が使用。英字の書体が紙面のアクセントになってます。

全体的に写真が多く掲載されてますが、シンプルに角版(四角)で使用されているところは少なく、紙面全体に(本文の下に)敷かれていることが多いです。作中のショット見せるというよりはパンフレットデザインのひとつのピースとして使用されている感じですね。紙面に一体感が生まれています。

カラーページとモノクロページが混在しているので、読み進めていても変化が感じられて飽きがこないです。カラーページだけだと読み進めていくうちに飽きてきちゃったり、少し疲れちゃったりすると思うんですよね。ページ数が多いとなおさら。モノクロページの存在がパンフレットを気持ちよく読み進めていく上での緩衝材の役割を果たしているような、個人的にはそんな気がします。

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写真が全面に使用されているページが多いので迫力があり、『フュリオサ』の世界観がとっても感じられる素敵なデザインです!

コンテンツチェック

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では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

「キャラクター紹介」「キャストインタビュー」「ジョージ・ミラー監督インタビュー」「プロダクションノート(総勢9名のスタッフインタビュー)」など王道の内容に加えて、「帰ってきた『マッドマックス』マニアックス」と題した『マッドマックス』シリーズのアーカイブページが掲載。充実すぎる内容になってますよ!

キャラクター紹介

フュリオサ、ディメンタス、イモータン・ジョー、ウォー・ボーイズのキャラクター紹介。フュリオサとディメンタスは見開き2ページ、イモータン・ジョーとウォー・ボーイズは1ページずつ掲載されてます。

フュリオサとディメンタスについてはライターのギンティ小林氏が、イモータン・ジョーとウォー・ボーイズについては同じくライターの市川夕太郎氏が担当されてますよ。

フュリオサをはじめとするそれぞれのキャラクターの背景、ファッションや武器など、本編を観ているだけではわからない詳細な設定や情報が解説されてます。ウォー・ボーイズに関してはリクタスなどの個人キャラについても書かれています。

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ここまで詳細なキャラクター紹介はまれではないでしょうか。

ギンティ小林氏と市川氏のキャラクター紹介は、キャラクターをディスってるようなところがちょこちょこ見受けられて(愛のあるディスり)、それが実におもしろい(個人的にはイモータン・ジョーの解説がおもしろかった)。あ、でもちゃんと紹介すべきところはビシッと紹介されてるのでご安心を。

いろんな意味で魅力的なキャラクター紹介ページになってますよ。

キャストインタビュー

アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワースが見開き2ページ、キャストコメントとしてトム・バーク(ジャック役)とラッキー・ヒューム(イモータン・ジョー役)が1ページ弱、チャーリー・フレイザー(メリー・ジャバサ役)はコメントが掲載されてます。

アニャ・テイラー=ジョイはインタビューで、フュリオサ役が決まるまで、決まった後の役づくり、そしてフュリオサのことについて語っています。特にトレーニングのくだりはプロフェッショナルを感じましたよ。フュリオサのことがかなり深掘りされていて、アニャ・テイラー=ジョイのフュリオサ愛が伝わってくるインタビューです。必読。

前作『怒りのデス・ロード』愛、ディメンタス愛が伝わってくるクリス・ヘムズワースのインタビューも必読。ディメンタスの「声」に関する役づくりのくだりはとても興味深かったです。あのまとわりつくような声質(個人的な感想)にはこだわっていたようで。おもしろい裏話でしたよ。

フュリオサとの関係性やジャックの生き様を語ったトム・バークのコメント、イモータン・ジョーのファッションや役づくりについて語ったラッキー・ヒュームのコメント、出演時間は少ないけど、いちばん過酷な準備をしていたのでは?と思えるチャーリー・フレイザーのコメントもよかったです。

ジョージ・ミラー監督インタビュー

ジョージ・ミラー監督が常に描きたいと思っているテーマ(まさにフュリオサの人生!)、アニャ・テイラー=ジョイやクリス・ヘムズワースとの出会い(クリスとの出会いはかなり運命的!)、フュリオサをはじめとする主要キャラクターのこと、そしてアクションシーンについてなどが、エピソードや裏話を交えて語られています。

5ページにもわたるとてもボリューミーな内容で、ジョージ・ミラー監督の本作『フュリオサ』への思いやキャラクター愛などが感じられたし(特にディメンタスに対して)、もっと大きいくくりで言うと、映画作りの情熱のようなものが感じられました。

個人的に印象的だったのは、個性的な車両やアクションシーンについての言及。本作では「車両とアクション」このふたつは切っても切れない関係だし、これこそがマッドマックスですからね。どのようなことを意識してアクションシーンの撮影にのぞんだのか、なぜアクションシーンにこだわるのか、ジョージ・ミラー監督の思いを知ると、なぜジョージ・ミラー監督のアクションシーンに惹きつけられるのかが納得できます。

とてもボリューミーでバイタリティを感じるインタビュー。御年79歳(2024年6月現在)、まだまだマッドマックスシリーズは続けられますよ。

プロダクションノート(スタッフインタビュー)

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ボリューム感を伝えるために、スタッフインタビューのラインナップをどうぞ。

  • ダグ・ミッチェル(製作)
  • コリン・ギブソン(美術)
  • サイモン・ダガン(撮影)
  • アンドリュー・ジャクソン(視覚効果監修)
  • ジェニー・ビーバン(衣装)
  • P・J・ボーテン(第1助監督)
  • ガイ・ノリス(アクション考案)
  • トム・ホルケンボルフ(音楽)
  • ロバート・マッケンジー(サウンド・デザイナー)

総勢9名 、11ページにもわたるスタッフインタビュー。ボリューミーで濃厚。

アクション、「荒れはてた地」を表現する様々な美術、衣装、ロケーション、CGやエフェクト、サウンドトラックや効果音など、製作の裏側がすべてわかると言っても過言ではないくらいに充実したスタッフインタビューです。

個人的には「荒れはてた地」や3つの要塞のルック、車両(特にディメンタスの「チャリオット」)、そして大迫力のアクションシーンがどのようにして作られたのかという点に興味があったので、コリン・ギブソン(美術)とサイモン・ダガン(撮影)とガイ・ノリス(アクション考案)のインタビューは特に興味深く読みましたよ。

僕たち観客が『フュリオサ』の世界観に没入して楽しめたのは、多くのスタッフの努力のおかげなんだと、インタビューを読んであらためて思いました。

プロダクションノート(スタッフインタビュー)は必読中の必読です。

帰ってきた『マッドマックス』マニアックス

『マッドマックス』シリーズ全体の「劇場用プログラム」のような内容の特集ページ。

9年前の『怒りのデス・ロード』のパンフレットでは「マッドマックスマニアックス」という特集ページがあったので、それを受けて本パンフレットでは「帰ってきた」が付け加えられたということでしょうね。ちなみに9年前の『怒りのデス・ロード(BLACK & CHROME EDITION)』のパンフレットはこちら。

前作『怒りのデス・ロード』を含む『マッドマックス』シリーズの作品紹介や、マックスの戦歴、濃厚なキャラクター紹介、インターセプターなどのマシン紹介、『怒りのデス・ロード』トリビア、そして『怒りのデス・ロード』のコンセプトアート&デザインを務めた前田真宏氏のインタビューが掲載されてます。

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マニアックでかなり充実した内容ですよ!

ちなみにこの特集ページの執筆を主に担当しているのが、本パンフレットでキャラクター紹介のページを担当したギンティ小林氏と市川夕太郎氏。しっかりとした情報は入れつつ要所要所で小ネタをぶっ込んできたりして、読み物としてかなりおもしろいです(マックスの特技がジャグリングとか知らんがな 笑)。

10年前、アニメ版『フュリオサ』の制作を担当するはずだった前田真宏氏のインタビューも興味深いです(残念ながら頓挫してしまったらしい)。

アニメ版『フュリオサ』の絵コンテやアイデアが本作に結構採用されていたことや、逆に変更になったアイデアなどに言及されていて、読んでいておもしろかったです。

前田氏が考えたフュリオサの左腕のくだりやディメンタスのラストのくだりは、採用されなかったものの、これはこれでいいアイデアだなぁなんて個人的には思ったりしました。

前田氏が製作する予定だったアニメ版『フュリオサ』も観てみたい気がしましたよ。

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「帰ってきた『マッドマックス』マニアックス」だけでお金が取れるような内容。これは一読の価値ありです。

総評

持った瞬間に「勝った」と思わせる総ページ数68ページのボリューミーなパンフレット。迫力あるデザインに充実すぎる内容。間違いなく今年度(2024年6月現在)ナンバーワンの映画パンフレットです!

お金を出して買う価値は十分すぎるほどにありますよ。

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これが1,100円(税込)で購入できるとは!買って損なし!

本作『マッドマックス:フュリオ』を気に入ったそこのあなた、絶対に買ったほうがいいですよ。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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