映画パンフレットレビュー!浅野いにお原作!『デデデデ 後章』(『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』)

アニメ

入試に合格して亜衣や凛と同じ大学に通い始めた小山門出と中川凰蘭(おんたん)は、竹本ふたばや田井沼マコトという新しい友達もでき、キャンパスライフを楽しく過ごしていた。上空に浮かぶ母艦の白煙、侵略者狩りなど、世界の終わりに向かってカウントダウンが始まるなか、凰蘭は不思議な少年・大葉に再び遭遇する…

『ソラニン』『おやすみプンプン』の浅野いにお原作の漫画を映画化した『デデデデ 前章』の続編『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』(『デデデデ 後章』)のパンフレットを紹介します!

レンツ
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本作『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』に関する内容がビシッと掲載され読み応え十分。前章同様、素敵なパンフレットです!萌えます!

ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:210mm × 210mm(正方形)
  • ページ数:36ページ
  • 発行者:大田圭二
  • 発行所:東宝株式会社ライツ事業部
  • 編集:株式会社東宝ステラ
  • テキスト協力:大津美波子
  • デザイン:佐々木志帆(gratan)
  • 印刷:共同製本株式会社
  • 発行日:2024年5月24日
  • 定価:1,100円(税込)
パンフレット掲載内容
  • INTRODUCTION & STORY
  • キャラクター相関図
  • キャラクター紹介/小山門出 × 中川凰蘭
  • スペシャルインタビュー/幾田りら(小山門出役) × あの(中川凰蘭役)
  • キャラクター紹介
  • キャストコメント
  • キャストインタビュー/入野自由(大葉圭太役)
  • 作品ディテール
  • タイムライン(時間軸解説)
  • 漫画「イソベやん」
  • キーワード&ガジェット説明
  • スタッフコメント/伊東伸高(キャラクターデザイン・総作画監督)
  • アートボード(美術)/西村美香(美術監督)コメント
  • スタッフコメント/稲見叡(CGディレクター)
  • 浅野いにお(原作者)コメント
  • スタッフプロフィール
  • テーマソング「青春謳歌」 幾田りら feat. ano/幾田りらコメント
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では、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!(以後『デデデデ』)

と、その前に、『デデデデ 前章』のパンフレットレビューをよろしければどうぞ。

デザインレビュー

表紙デザイン

表紙は前章パンフより不穏度が増してます。

赤(背景)×黒(母艦)という強烈な配色、その上に配置されたイソベやんTシャツを着た可愛らしい門出と凰蘭。「赤×黒×門出&凰蘭」という組み合わせのギャップが不穏さをさらに際立たせてます。

そしてよく見ると、母艦から白煙が…

ちなみに前章パンフ同様、作品タイトルと門出&凰蘭にはエンボス加工が施されていますよ。

裏表紙は大葉のアップとマコト・ふたば・亜衣・凛の四人が海辺を歩いてる姿。

鑑賞後に見ると、なんだか儚さを感じます。大葉のこの表情、何を見て何を思ってるんでしょうか。そして、真っ赤にに染まった夏の日の四人…。

最後に背表紙。

左側が前章パンフ、右側が後章パンフ。二冊並べると…『デデデデ』の文字が完成!

レンツ
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ニコイチの感じがちょっと嬉しい!

中面デザイン

中面デザインも赤がベースとなっているので、終始落ち着かない雰囲気に。

ただ前章パンフ同様、キャラクターや作中の写真が多く掲載されていたり、可愛らしい書体が使われていたりして、『デデデデ』らしいポップさは損なわれてません。

でも、何だか落ち着かないです。

ここまで赤を多様する映画パンフレットってあまり出会ったことがないような気がします。そういう意味ではかなり思い切ったデザインだと個人的には思いますよ。

レンツ
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青春の『前章』、破滅の『後章』。青と赤で『前章』『後章』のパンフレットを差別化したのはお見事!

コンテンツチェック

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では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

「キャストインタビュー」「キャラクター紹介」「キャストコメント」「スタッフコメント」、そして『デデデデ』ならではのオリジナルなページもあり、前章パンフ同様、バラエティに富んだ充実した内容になってますよ。

賑やかなキャラクター紹介

主人公の門出と凰蘭は、前章パンフでは制服姿でしたが、後章パンフでは私服で掲載。二人とも可愛らしくてオシャレ。そして、そのオシャレには理由がある!後述!

亜衣や凛も、門出たち同様私服姿でとても可愛らしいです。ひろしは「過去のイケメンひろし」が掲載されているのは、ひろしファンの僕としては嬉しいところ。もっとも変化が大きかったのは小比類巻くん。前章の爽やか小比類巻くんが懐かしい。

本編の結末を知ってからこのキャラクター紹介を見ると、何だか切なくて複雑な気持ちになります。

充実のキャストインタビュー&コメント

前章パンフから引き続き、門出の声を担当した幾田りらさんと凰蘭の声を演じたあのちゃんの対談形式のスペシャルインタビューが見開き2ページで掲載。後章パンフでは新たに大葉役の入野自由さんのインタビューが1ページ掲載されてます。そして、ふたばの声を演じた和氣あず未さんをはじめとする主要キャラクターを演じた八名の声優さんのコメントは見開き2ページで掲載されてます。かなり充実。

幾田りらさんとあのちゃんのスペシャルインタビューでは、お二人が演じた門出と凰蘭の魅力や『後章』本編について、そして声優としてのお芝居のことや主題歌のことなどに言及されてます。

本作のことやアーティストとしての関わりについてなど、いろんな角度からの質問に答えられていて、前章パンフよりも読み応えのあるインタビューだと個人的には感じました。

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ただ内容とは関係ないんですが、少し気になるところが…

この対談形式のスペシャルインタビューに関しては前章パンフから思っていたんですけど、幾田りらさんとあのちゃんは別々にインタビューを受けたのかな?みたいなお二人の距離感が気になっていて。

というのも、お二人の会話のキャッチボールが全然無いんですよね。後章パンフではお二人のツーショット写真が掲載されていたので(前章パンフでは一人ずつのショットのみ)、別々にインタビューを受けていた説(僕が勝手に説を唱えただけだけど)はほぼほぼ無いのかなとは思いますが。

お二人の性格的なものなのか、このインタビューを受けている時点ではまだそこまで仲良くなってなかったのかはわからないけど、めちゃくちゃシュールな雰囲気のスペシャルインタビューで、僕は好きです(何だこのフォローは)。

キャスト(声優)コメントでは、ご自身が演じたキャラクターのことや演じる上で気をつけたこと、収録時のエピソードなどが語られていて、かなり読み応えがあります。

そして、前章パンフ同様、声優さんご自身のキャラが出ていておもしろかったです。女性陣の方がコメント的にはテンションか高めでした。

特にマコトの声を演じた白石涼子さんのコメントはよかったです。マコトのキャラをとてもよく理解されていたし、そして何よりマコトばりに明るい(笑)。まさに適役。

前章パンフ同様にバラエティ感のある楽しいキャストコメントになってますよ。

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そして、この見開きのキャストコメントはレイアウトも秀逸なんです。

いちばん上にキャラクターのイラストがあり、その下にキャラクター名と声優さんのコメントが続き、さらにその下に声優さんの写真とプロフィールが掲載され、一つの(一人分の)ブロックが形成されているんですね。そして、そのブロックが八つ(八名分)並列に横に並んでいるんです。

同じフォーマットが八名分続くので、紙面としては動きが乏しくなってしまうけど、情報が整理されていてとても読みやすいし、コメントが頭に入ってきやすいんですよね。

内容だけじゃなくて、デザインも素晴らしいキャストコメントページとなってます。

スタッフコメント

キャラクターデザイン・総作画監督の伊東伸高氏とCGディレクターの稲見叡(さとい)氏のコメントが掲載されてます。これまた読み応えがあります。

伊東氏のコメントでは、浅野いにお氏の漫画の素晴らしさや漫画のキャラクターをアニメ化するにあたって苦労した点や注意した点、そして本編の見どころのシーンなどについて言及されてます。

特に浅野いにお氏の緻密で独特なタッチの絵をアニメーションに落とし込む作業の苦労話は「確かに!」と思える内容で、僕たち観客が作中で何の違和感なく見ているキャラクターたちの姿は、クリエイターさんたちの苦労の上に成り立っているんだとあらためて思い知りました。

大変だったり苦労した点などが語られていても、伊東氏のコメントからはすごく浅野いにお氏の作品が好きで絵が好きで、『デデデデ』愛が感じられるのが良いです。原作のこのシーンも描いてみたかった、というようなポジティブなこともおっしゃっていて、本当にアニメが好きで『デデデデ』が好きなんだと感じましたよ。

CGディレクターの稲見氏のコメントもよかったです。技術的なことが語られていて少し難しいところもありましたが(でも何となく雰囲気はわかる)、かなり細かいところにまで言及されていて読み応えがありました。

個人的には「ゼロ磁場グニャグニャ」「記憶装置(メカみかん)」の表現にはかなり圧倒されたので、そのシーンに言及されていたのは嬉しかったです。

ヴィジュアル的に凄かったので、さぞ手練れのクリエイターが制作したのかと思いきやそうじゃなかったという事実にはびっくり。かなり苦労されたと思いますが、何をやるにしても最後は情熱ですよ。技術も大事だけど、やはり情熱。

本作において、とても重要なタスクを任された伊東氏と稲見氏のコメントは読み応えがあったし、お二人をはじめとする本作に関わったすべてのクリエイターさんにはあらためて感謝&リスペクトです。

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素晴らしい映像表現で僕らを楽しませてくれてありがとう!

『デデデデ』ディテール

「デデデデ ディテール」とカテゴリーされた後章パンフだけのオリジナルページ。衣装のことや「イソベやん」のことなど、トピック的なことが掲載されてます。

ページとしては3分の2ほどのスペースですが、門出と凰蘭の衣装を担当したケイスケカンダ氏のコメントがおもしろかったです。アニメなのに衣装担当がいるっていうところがオリジナリティがあっていいですよね。おもしろい試み。

作中で凰蘭が着ていてめちゃくちゃ気になっていた「銀杏BOYZ」Tシャツの奇跡的な裏話にはゾクッとしましたよ。なぜ「銀杏BOYZ」なのか、理由がハッキリしてすっきり。ぜひ読んでいただきたい。

今後、アニメ作品にも『デデデデ』のように衣装担当がついたら作品のクオリティがもっと上がって見どころが増えるのになぁ、なんて思いました。

そして、「イソベやん」のテベ子の声を担当したTARAKOさん(2024年3月逝去)のコメントにはグッときました。4行ほどのコメントなんだけどめちゃくちゃ可愛らしいコメントで。『デデデデ』の完成版は観られたのかな。あらためてご冥福をお祈り申し上げます。

総評

赤をベースとした不穏でポップな、ポップで不穏な、『デデデデ 後章』の雰囲気が表現された絶妙なデザイン。そしてバラエティに富んだ充実した内容。デザイン、内容ともに満足度が高いパンフレットです。

このパンフレットを読めば、いつでも『デデデデ 後章』の世界に浸れます。『デデデデ 前章』のパンフレットも揃えればパーフェクト!

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これが1,100円(税込)で購入できるとは!買って損なし!

お金を出して買う価値は十分にあると思いますよ。

原作漫画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が好きな方、浅野いにお作品が好きな方、門出とおんたんが好きな方に、自信をもってオススメできるパンフレットです。

そして何より本作『デデデデ 後章』を気に入ったそこのあなた、絶対に買ったほうがいいですよ。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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