馬陽の戦いで、趙の敵将を討った飛信隊の信(しん)たちの前に突如現れた趙軍の真の総大将・龐煖(ほうけん)。龐煖により飛信隊は壊滅的な痛手を負い、決死の脱出劇を試みる。一方、戦局を見守っていた秦国の総大将・王騎(おうき)は、趙に潜むもう一人の化け物、李牧(りぼく)の存在を感じ取っていた…
中国の春秋戦国時代を描いた大人気漫画(原泰久原作)「キングダム」の実写映画シリーズ第4作で最終章となる『キングダム 大将軍の帰還』のパンフレットを紹介します!
『キングダム』らしい骨太なパンフレット!萌えます!
ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
では、『キングダム 大将軍の帰還』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!
デザインレビュー
表紙デザイン
A4サイズ(297mm×210mm)の横型パンフレット。
全体的にニス加工(?)された黒い紙の上にリッチブラック風のマークが印刷、その上に金箔押しで「KINGDOM Ⅳ」の文字。パッと見はシンプルですが印刷はかなり凝ってます。「キングダム最終章」にふさわしい高級感のある格調高い表紙となってますよ。
裏表紙には英文で「紀元前245年、広大な中国大陸の覇権をめぐって、7つの国が激しく争う」と、『キングダム』の時代背景が記されてます(翻訳アプリで翻訳しました)。
中面デザイン
冒頭にキャラクターの迫力のあるカラー写真が掲載(超かっこいい!)。人物相関図などカラーページもありますが、それ以降は基本的にモノクロページが続きます。
書体は明朝体が使用されてます。本文中の文字はそれほど大きくありませんが、行間はしっかり確保されているので読みやすいですよ(プロフィールの文字は…かなり小さいです。読めるけど)。
デザインを構成する要素として、直線が多用されていたり、モノクロページが多かったりするので、全体的にお堅めで落ち着いた雰囲気になってます。
コンテンツチェック
「キャラクター紹介(写真)」「キャストインタビュー」「キャストコメント」「佐藤信介監督インタビュー」「原泰久(原作者)インタビュー」「スタッフインタビュー」など、インタビューやコメントが中心の内容となってます。
では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。
キャラクター紹介
とにもかくにも冒頭のキャラクター紹介の写真が最高にかっこいい!
キャラクターのラインナップは次の通り。
- 信(山崎賢人)
- えい政(吉沢亮)
- 河了貂(橋本環奈)
- 羌かい(清野菜名)
- 趙荘(山本耕史)
- 万極(山田裕貴)
- 楊端和(長澤まさみ)
- 昌平君(玉木宏)
- 摎(新木優子)
- 李牧(小栗旬)
- 龐煖(吉川晃司)
- 王騎(大沢たかお)
『キングダム』ファンなら垂涎の総勢12名のキャラクター写真が、12ページにわたり掲載されてます(ひとり1ページ!贅沢!)。
この12ページのために本パンフレットを購入してもいいんじゃないかっていうくらいにクオリティの高い写真ですよ。
キャストインタビュー&コメント
主演の山崎賢人さんと助演の大沢たかおさんはインタビューとして1ページずつ、脇を固める吉沢亮さんや橋本環奈さんらはコメントとして約半ページずつ掲載されてます(岡山天音さんと三浦貴大さんと佐久間由依さんは3人で1ページ)。
山崎賢人さんは、今回信を演じる上で意識した点、冒頭の龐煖との戦いや趙軍との合戦のシーンなどの印象的なシーンについて、そして大沢たかおさんとの共演についてなどが語られています。
特に大沢たかおさんについての言及はまさに信と王騎との関係性のようでグッときましたよ。
山崎賢人さんを100%味わえる爽やかで優等生なインタビューとなってます(褒めてます)。
大沢たかおさんは本作の撮影に臨むにあたっての気持ち、摎(きょう)とのシーンやご自身が演じた王騎について、そして山崎賢人さんとの共演についてなどが語られています。
そして『キングダム』シリーズについても言及されていますが、大沢たかおさんが本当に『キングダム』を大事に思っていることが伝わってきて、全身全霊で王騎を演じてきたんだなぁなんて、勝手に感慨深くなってしまいました(僕が演じているわけではないんですけど)。
その他では、小栗旬さんのキャスティングにまつわるエピソードや吉川晃司さんのストイックな役づくりに、そして長澤まさみさんの「吉沢亮」評がおもしろかったです。
総勢13名のキャストインタビュー&コメントは必読!
佐藤信介監督インタビュー
佐藤信介監督は山崎賢人さんをはじめとするキャストの皆さんへの思いや賛辞、そして『キングダム』シリーズの総括が語られています。
キャラクターの特徴を説明しつつ演じたキャストへ具体的な賛辞を送るという、もうこれ以上のない説得力のあるインタビューで、キャストや原作へのリスペクトが感じられます。
『キングダム』シリーズを撮ることへの覚悟、そして撮り終えての感謝など、監督ご自身の気持ちも語られていて、監督も相当なプレッシャーの中で撮影していたんだなと思いましたよ。
ホントにお疲れさまでした。
原泰久(原作者)インタビュー
原作者の原泰久先生はインタビューの7割くらいをキャストの皆さんへの賛辞に費やしています。『キングダム』の生みの親である原先生の賛辞はめちゃくちゃ説得力がありますよ。
そして、良い意味で作品を客観視しているので、とても観客目線というか、共感度のあるコメントが多いです。
原作者が大絶賛しているというとこは、間違いのないクオリティだったことがわかりますよね。
あとは、制作陣に感謝しているところも好感度が高いです。原作者を置いてけぼりにした作品があったりする中、とても健全に制作されていたんだと感じましたよ。
いろんな意味で、原作漫画の実写化としての大成功例になったんじゃないですかね。
スタッフインタビュー
黒岩勉氏(脚本)、やまだ豊氏(音楽)、下村勇二氏(アクション監督)はインタビュー形式で、小坂一順氏(VFXスーパーバイザー)と白石哲也氏(Compositingスーパーバイザー)と木川裕太氏(CGスーパーバイザー)のお三方は鼎談形式で掲載されてます。
黒岩氏は印象的なセリフや本作の構造的なおもしろさなど、やまだ氏は本作における音楽の方向性や通常ではあり得ないレコーディング方法など、小坂氏ら合成チームは王騎vs龐煖のシーンや3DCGで苦労したところなど、スタッフインタビューを読まないと知り得ないエピソードや裏話が語られています。
個人的には信や羌かい、龐煖、王騎、そして飛信隊のアクションが解説された下村氏のインタビューは興味深かったです。撮影の裏側での努力が垣間見られて、頭が下がる思いになりましたよ。
キャストの皆さんが体を張ってくれたお陰で僕たち観客が本作を楽しめたわけですから、感謝しかありません。
特に龐煖と王騎の一騎打ちの撮影エピソードは読めてよかったです!
スタッフのディテールへのこだわりや作品への思いによってこのような素晴らしい大作が生まれ、そのおかげで僕たち観る側の人間が作品の世界観に没入できるんだと、スタッフのインタビューを読んでつくづく思いました。
制作の裏側がわかるスタッフインタビューはぜひとも読んでいただきたいし、読了後にもう一度本作を観れば、違った角度から『キングダム』を観ることができると思うので、より作品を味わえるのではないでしょうか。
ここが惜しかった!
とても良いパンフレットなのは間違いないですが、惜しい!と思ったところを2点ほど。
まずは『キングダム』シリーズの世界観を作った美術や衣装のスタッフコメントが無いのは残念。
特に衣装に関しては質、量ともに大変だったことがわかるし、せっかくなので「大沢たかおさんが予想以上にデカくなっていて衣装を作り直した」みたいなエピソードを読みたかったです(このエピソードは僕の想像)。ちなみに衣装担当は『キングダム2 遥かなる大地へ』『ゴールデンカムイ』の宮本まさ江氏。
そしてもう一つは、本作が最終章ということで一区切りつくわけですよ。そういうことならパンフレットの最後にでも『キングダム』のアーカイブを掲載して欲しかったです。
本編では要所で過去のシーンが挿し込まれていたので、パンフレットでも過去作にフォーカスしたページがあってもよかったような。
もちろん現状でも十分に満足できるんですけど、最終章ということならもうひと頑張りして欲しかったな。
総評
格調高さを感じさせる表紙、パンフレットの質感の素晴らしさ、迫力のある冒頭のキャラクター紹介、そしてインタビューを中心とした読みごたえのある内容と、『キングダム』ファンはもちろんのこと、本作を観て心を揺さぶられた方には是非購入をオススメしたい1冊です。
お金を出して買う価値は十分すぎるほどにありますよ。
これが990円(税込)で購入できるとは!買って損なし!
本作『キングダム 大将軍の帰還』を気に入ったそこのあなた、パンフレットのご購入をオススメしますよ。