映画パンフレットレビュー。池松壮亮出演、奥山大史監督作品『ぼくのお日さま』

邦画

雪の降る田舎町に暮らす吃音の少年タクヤ。ある日、フィギュアスケートの練習をする少女さくらに心を奪われたタクヤは、やがてコーチの荒川の提案でさくらとアイスダンスのペアになることを提案され練習を重ねていく…

本作が映画初主演となる越山敬逹と、演技初挑戦でヒロインを務めた中西希亜良がフィギュアスケートを学ぶ少年少女を、『シン・仮面ライダー』の池松壮亮がコーチ役をそれぞれ演じ、『僕はイエス様が嫌い』(2019)の奥山大史監督が田舎のスケートリンクでフィギュアスケートを学ぶ少年少女の淡くて切ない小さな恋を描いた『ぼくのお日さま』のパンフレットを紹介します!

レンツ
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可愛らしくて温かみのあるパンフレット!萌えます!

ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:182mm × 128mm(B6横型)
  • ページ数:86ページ
  • デザイン:大島依提亜
  • 装画:タダジュン
  • 編集:西宮由貴
  • 協力:狩野かおり、皆木良子
  • スチール:木村和平、持田薫、奥山大史(P66-75)、唐鎌凛(P56、57)
  • 発行:東京テアトル
  • 印刷:アトミ印刷
  • 発行日:2024年9月6日
  • 定価:1,000円(税込)
パンフレット掲載内容
  • Introduction
  • Story
  • キャストQ&A/越山敬達、中西希亜良
  • キャストインタビュー/池松壮亮
  • キャストコメント/若葉竜也
  • キャストプロフィール
  • コメント/ハンバート ハンバート(主題歌「ぼくのお日さま」)
  • インタビュー/奥山大史監督
  • スタッフプロフィール
  • 『ぼくのお日さま』前日譚/奥山大史
  • 座談会/越山敬達×中西希亜良×池松壮亮×奥山大史
レンツ
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では、『ぼくのお日さま』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!

デザインレビュー

表紙デザイン

B6サイズ(182mm×128mm)の小型パンフレット。

手書きの「お日さま」が金箔押しで印刷された可愛い表紙デザイン。角度を変えるとキラキラ光ります(って奥山大史監督がXでポストしてた)。まさにお日さま。

裏表紙の「MY SUNSHINE」の文字も金箔押し。芸が細かい!

そして何よりこのパンフレット最大の特徴は、ページが黄色の糸で綴じられてる点。

糸綴じの映画パンフレットはかなり珍しいんじゃないですかね。制作工程は大変だと思うけど、オリジナリティがあってとても可愛い仕上がりになってます。

中面デザイン

パラパラ漫画のようにページが進むにつれて黄色の丸い「お日さま」が動くという凝った中面デザイン。遊び心に溢れています。

基本的に紙色の白がベースで、文字は明朝体が使用されてます。行間がしっかりと確保されているので、とても読みやすいです。

文字の大きさにあまり強弱がなく、使用されている色数も少ないので(白×黒×黄)、落ち着いた雰囲気の紙面になってます。

そして素晴らしいところは、本編の美しい映像を切り取ったかのようなとても雰囲気のある写真が多く掲載されている点。フォトブックも兼ねたパンフレットといっても過言ではないくらいにクオリティが高いです。

湖でのスケートのシーンや荒川(池松壮亮)と五十嵐(若葉竜也)のツーショットや、タクミが飼っているワンちゃんのショット(可愛い!)など、どれも素敵な写真ばかり。オフショットやカンヌでの写真も掲載されてますよ。

全体的に可愛らしくて温かみのあるパンフレットデザインです。

コンテンツチェック

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では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

越山敬達/中西希亜良Q&A

Q&Aという形でのインタビュー。

越山敬逹さんも中西希亜良さんも「オーディションのこと」「共演したキャストのこと」「撮影の思い出」「完成した映画を観ての感想」などに答えてます。

映画の内容のことではなく、撮影前や撮影中のエピソードや裏話が中心なんですが、とにかく初々しくて微笑ましい回答のオンパレード。15歳の男の子と13歳の女の子の素がみられて、まるで親のような、見守るような気持ちで読んじゃいましたよ。

特に中西さんが演じたさくらという女の子は、思春期で少しつっけんどんなところがあったんですけど、本人はそんなことなくて。なんかね、ちょっとホッとした(笑)。

大変なことは多々あったと思うけど、撮影はとても楽しかったようで、2人にとっていい体験ができたんだろうなぁ、よかったなぁなんて、しみじみ思いました。

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越山敬逹さんと中西希亜良さん。これからの2人の活躍に期待したいですね!

池松壮亮インタビュー

「奥山監督との出会い」「本作への携わり方」「越山さんと中西さんへの接し方」「若葉竜也さんとの共演ついて」「奥山監督について」などに言及しています。

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インタビューすべてが読みどころですよ!

池松壮亮さんのインタビューを読むとわかりますが、本作のMVPは間違いなく池松壮亮さんですね。池松さんの優勝です。

越山さんと中西さんの素晴らしい演技の裏には池松さんの気配りがあったことがわかるし、荒川と五十嵐の関係性を表現するアプローチの仕方はプロだなと思ったし、そして何より奥山監督のことをリスペクトしつつ、育てて守っていきたいという映画界への広い視野を持っている。

池松壮亮さんの人間性を垣間見られるとても素敵なインタビューです。必読。

奥山大史監督インタビュー

「なぜスケート映画を撮ろうと思ったのか」「池松壮亮さんをキャスティングした経緯」「荒川と五十嵐の同性カップルの描写」「ご自身の仕事のこと」など、作品のことやキャスティングのこと、そして奥山大史監督ご自身の仕事の取り組みに関することに言及しています。

池松壮亮さんのインタビューに引き続き、奥山監督のインタビューもすべてが読みどころですよ。

本作でとても重要な「荒川と五十嵐の関係」についての言及を読むと、描写にはとても真摯に取り組んでいたことがわかります。

「荒川と五十嵐」に関して(と、その後のさくらのセリフについて)ネガティブな感想がXのポストで散見されたけど、僕は描き方としてはよかったと思うし、さくらのセリフだって時代(現在の2024年より前の時代設定)を考えると全然ありだと思いました。

奥山監督が熟慮した上での同性カップルの描写だった、ということがわかるので、特にこの箇所はぜひ読んでほしい。

そして、「荒川と五十嵐」のシーンで印象的だった「ベッドで寝転がりながら会話する」シーンのについても言及がありました。

この裏話はかなり驚き。

池松壮亮さんと若葉竜也さんのような手練れな役者同士だからこそできた撮影だと思うし、池松さんと若葉さんの凄みを感じましたよ。どんな撮影だったのかは、買って読んでね(笑)。

インタビューの最後に、映画以外にも広告やMVなど様々なメディアで活躍される奥山監督の仕事に対する思いが語られています。

とても熱量を感じたし、いろんな仕事を経験することの大事さみたいなことが伝わってきます。

これは働く人すべてに響くはず。僕もクリエイターのひとりとしてかなり響きました。必読。

座談会/越山敬達×中西希亜良×池松壮亮×奥山大史

読みながらニマニマしてしまう越山敬逹さん×中西希亜良さん×池松壮亮さん×奥山大史監督の座談会。

カンヌでの思い出や撮影の思い出を振り返ってます。

中心は越山くん。池松さんと奥山監督にいい意味でイジられて、そこにちょこちょこ中西さんが絡んでする感じ。とても仲の良さを感じられる座談会で、カンヌは楽しかったんだろうな、とても楽しい現場だったんだろうな、ということが容易に想像ができます。

おまけ的なページで、とても気楽に楽しく読めますよ。4人の素敵な関係性や素がみられる楽しい座談会。カンヌでのショットも多数掲載されてますよ。皆いい表情!

総評

手描き「お日さま」が金箔押しで刷られた表紙デザイン、映画パンフレットでは珍しい糸綴じの装丁、パラパラ漫画のように黄色くて丸い「お日さま」が動くという遊び心のある可愛らしい中面デザイン。

越山敬逹さんと中西希亜良さんの可愛らしいQ&Aや池松壮亮さんと奥山大史監督のインタビュー、その4人の座談会など、映画制作のエピソードや撮影の雰囲気がわかる充実の内容。

とても可愛らしくて温かみのある素敵なパンフレットです。

お金を出して買う価値は十分すぎるほどにありますよ。

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これが1,000円(税込)で購入できるとは!買って損なし!

本作『ぼくのお日さま』を気に入ったそこのあなた、パンフレットのご購入をオススメしますよ。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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