『正体』パンフレットレビュー。横浜流星主演のヒューマンサスペンス。藤井道人監督作品。

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日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こし、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら必死に逃亡を続ける鏑木。なぜ鏑木慶一は逃亡を続けるのか。やがて彼の真の目的が明らかになる…

『線は、僕を描く』『春に散る』の横浜流星を主演に迎え、『新聞記者』『青春18×2 君へと続く道』の藤井道人監督が『悪い夏』の染井為人の同名小説を映画化したヒューマンミステリー『正体』のパンフレットを紹介します!

まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:148mm × 210mm(A5縦型)
  • ページ数:92ページ
  • 編集・発行:松竹株式会社 事業推進部
  • 編集:石井天翔(松竹)
  • インタビュー・構成(キャスト・スタッフ・プロダクションノート):SYO(物書き)
  • スチール:川上智之、興梠真穂
  • デザイン:志氣慶二郎(SlowStarter)
  • 発行日:2024年11月29日
  • 定価:1,200円(税込)
パンフレット掲載内容
  • INTRODUCTION
  • CHARACTERS(人物相関図)
  • 人物相関図
  • キャストインタビュー/横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈、山田孝之
  • キャストプロフィール
  • インタビュー/藤井道人監督
  • インタビュー/染井為人(原作)、小寺和久(脚本)、川上智之(撮影)、大間々昴(音楽)
  • プロダクションノート
  • テーマソング/「太陽」ヨルシカ
  • SHOOTING DIARY(撮影日誌)
レンツ
レンツ

では、『正体』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!

デザインレビュー

表紙デザイン

A6サイズ(148mm×210mm)のパンフレット。

表情の見えない鏑木が送っているであろう視線の先にある「正体」の文字。「正体」の文字がどことなく彷徨っているように見え、鏑木の掴みどころのなさみたいなものが表現されているように思います。

派手さはないもののとても意味深で、『正体』らしさが表現された良いデザインではないでしょうか。

ちなみにこのパンフレット、まるで書籍のような厚みがあります。手にした瞬間にパンフレットの充実度を確信しました。

中面デザイン

文字が中心のページはモノクロ、ヴィジュアルが中心のページはカラーで展開されてます。

インタビュー等の文字はやや小さめに感じますが、行間がしっかりと取られているのでストレスなく読むことができます。

表紙同様に派手さはありませんが、読みやすくて落ち着いたデザインはまさにプロの仕事。お見事です。

コンテンツチェック

レンツ
レンツ

では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

「キャストインタビュー」「藤井道人監督インタビュー」「プロダクションノート」「撮影日誌」などコンテンツの種類としては多くないですが、撮影のエピソードや裏話が満載で、内容はかなり充実しています。

キャストインタビュー

キャストそれぞれの人柄や役への向き合い方がよく表れているインタビュー。間違いなくこのパンフレットのハイライトです。

座長らしく頼もしさを感じつつも気心の知れた藤井道人監督をちょっといじるユーモアもあり、自信がうかがえる横浜流星さん。

疑問に思うことはしっかりと監督に伝え、役に真摯に向き合ってとても真面目な印象の吉岡里帆さん。

自分の演技の不安を吐露している感じがとても実直で好印象の森本慎太郎さん。

(笑)がいちばん多くてとても可愛らしい印象の山田杏奈さん。

役への向き合い方が段違いで、文章を読むだけで凄味を感じる山田孝之さん。

この5名のインタビューは星3つ、いや星5つぐらいに読みごたえがあって面白いです。

特に興味深く読んだのは森本慎太郎さんのインタビュー。もうとにかく自信がないんですよ。監督がOK出しても不安だというね(笑)。

おそらく必死に食らいついて演技してたんだと想像しますが、その必死さがいい具合に演技に反映されていたのではないかと。だって、めちゃくちゃ良かったですからね、森本さんの演技。

ちなみに藤井道人監督はインタビューで森本さんのことを「自分の人生の中でも大きな発見」と評してます。最大の賛辞ですよね。実際、森本さんの演技っぷりを見て、彼のシーンが追加されたようですよ。

SixTONESというスーパーアイドルなのにハッキリと不安を吐露する森本さんの人間味あふれるインタビューはぜひ読んでほしい。

話はちょっと変わりますが、撮影に同行していたのかな?って思うくらいピンポイントな質問があったり、キャスト5名に同じ質問を投げかけるアイデアだったり、インタビュアーのSYO氏の「聞く力」も素晴らしいです。ということも伝えておきますね。

読んで楽しい撮影日誌

本パンフレットの終盤に『撮影日誌』という撮影の日誌(そのまま)が掲載されてるんですが、これが実に面白い。

日付とその日の撮影内容やエピソードが掲載されているんですけど、これを読むと撮影の流れといいますか撮影の順番がわかるんですね。

本作は物語の流れに沿って撮影されてないので「このシーンの後にこのシーンを撮ったのか!」とか「このシーンが最後に撮影されたのか!」という意外なこともわかり、思いのほか楽しく読めました。

山田孝之さんはクランクインの日にいきなり横浜流星さんと格闘したというエピソードを読むと、俳優さんたちの大変さが非常によくわかるし、撮ったシーンを繋げて一つの作品を完成させる監督やスタッフのプロとしての仕事っぷりに脱帽です。

ちなみに本編冒頭の「救急車内でのアクション」は終盤に撮影されてました。撮影の終盤に冒頭のシーンを撮るって、何だか不思議な感じですね。

美しい本編のショット

そして忘れてならないのは掲載されている本編のスチール写真の数々。ビジュアルブックも兼ねてるんじゃないか?とも思えるほどクオリティが高いです。

個人的には60ページの桜井(横浜流星)と68ページの銃を構える又貫(山田孝之)のショットがお気に入りです。

結構暗めな写真が多いので、色補正は大変だったろうなぁ…印刷も気を使っただろうなぁ…なんて下世話なことを思いましたが、すべての写真がとても雰囲気があって素敵です。

総評

まるで書籍のような厚みのあるボリューミーなパンフレット。

インタビューを中心とした内容は読みごたえ十分。インタビュアーのSYO氏(物書き)の質問内容が素晴らしく、作品の裏側をかなり知ることができます。読み物としても面白い。

『正体』をもう一度観たくなるような、とても素晴らしい内容のパンフレットです。

本編のスチール写真のクオリティの高さもグッド。

レンツ
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これが1,200円(税込)で購入できるとは!買って損なし!

本作『正体』を気に入ったそこのあなた、パンフレットのご購入をオススメしますよ。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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