3年前、突如宇宙から出現し、未曽有の事態を引き起こした巨大な<母艦>が上空に浮かぶ非日常で青春を謳歌する小山門出と中川凰蘭(おんたん)。ある夜、悲劇が起こり、二人と世界は破滅に向かっていく…
『ソラニン』『おやすみプンプン』の浅野いにお原作の漫画を映画化した『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』(通称『デデデデ』)のパンフレットを紹介します!
本作『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』に関する内容がしっかりと掲載されているし、デザインはイラスト多めでポップな(そしてちょっぴり不穏な)仕上がりに。素敵なパンフレットです!萌えます!
ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
では、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!(以後『デデデデ』)
デザインレビュー
表紙デザイン
『デデデデ』のすべてが凝縮されたような表紙デザイン。
空をイメージしたと思われる青バックの上に、緻密に描かれた巨大な〈母艦〉が大胆に配置、その上にこれまた大胆に配置された作品タイトル『デデデデ前章』と可愛らしいの門出&凰蘭。
可愛らしさと不穏さが同居しているデザインがまさに『デデデデ』を表現してますよね。
そして、作品タイトルと門出&凰蘭にはエンボス加工が施されています。特に「デッドデッドデーモンズ」と「デストラクション」は細い線で表現されているので、なかなか緊張感のある加工だったんじゃないですかね。でも綺麗に仕上がってますよ。加工屋さん、おみごと!
裏表紙は〈母艦〉と不安な表情を浮かべているキホ&凛&亜衣の組み合わせ。〈母艦〉がキホたちの頭上にあるのでかなり圧迫感があるし、何より〈母艦〉存在感が気持ち悪いですよね(褒め言葉)。
とても不穏で嫌な感じ。
それにしても、この〈母艦〉の緻密さには圧倒されます。大友克洋さんもビックリの画力じゃないですかね。素晴らしいです。
最後に背表紙。
縦に書かれた『デデデデ』の文字の左側半分だけ印刷されてます。おそらく後章の背表紙に右側半分が印刷されていて、2冊並べると『デデデデ』という文字が完成されるんでしょう。
背表紙にもデザインされているとは、芸が細かい!
細かいところにも手を抜かずにデザインされていて、好感度が高いです。
中面デザイン
とてもポップなデザインなんですけど、どことなく表紙同様に不穏な雰囲気も感じさせるデザインになってます。
基本的に青と黄色の配色で展開されています。
マンガチックな文字が使用されていたり、キャラクターのイラストが多めに掲載されていたりと、全体的に楽しげでポップなデザインになってます。でも、青の背景部分に少しザラっとした模様が入っていてノイジーな雰囲気もあり、ポップなだけじゃないという本作同様の不穏さが表現されているところはポイント高いです。
そして、中盤に「キーワード」の説明ページや「イソベやん」の漫画や「ガジェット」の解説ページなどの、見て楽しいページがあり、パンフレットのアクセントなってます。
全体的にポップなんだけど不穏さもあるという、その塩梅が絶妙な中面デザインになってます。
コンテンツチェック
では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。
「キャラクター紹介」「キャストインタビュー」「キャストコメント」「スタッフコメント」など、網羅性のある充実した内容です。
賑やかなキャラクター紹介
主人公の小山門出と中川凰蘭はそれぞれ1ページずつ、他のキャラクターは3ページにまとめて紹介されてます。
キャラクターごとのイラストが1点だけじゃなく、いろんな表情や角度で描かれたイラストが数点掲載されているし、劇中カットも掲載されているので、とても賑やかで充実しています。
イソベやんとブサ犬まで紹介されているという遊び心があるのもポイント高いです。
充実のキャストコメント
門出の声を担当した幾田りらさんと凰蘭の声を演じたあのちゃんの対談形式のインタビュー、そしてキホの声を担当した種崎敦美さんをはじめとする主要キャラクターを担当した声優さんはほとんどコメントを寄せてます。
幾田りらさんとあのちゃんの対談形式のインタビューでは、作品のことやご自身の芝居に関すること、原作者である浅野いにおさんからの要望、主題歌についてなどが語られてます。おふたり共に作品に対して、声優という仕事に対して真摯に向き合っていたことが伝わってくるインタビューとなってます。特に主題歌については、おふたりとも歌い手さんなので、熱いものを感じましたよ。
バラエティー番組のあのちゃんしか知らない僕としては、すごく真面目な方なんだなぁなんて、インタビューを読んでちょっと感心しちゃいました。
このインタビューは後章に続くらしいんですけど、売れっ子おふたりのインタビューなのでもう少しページを割いてもよかったような気がします。見開き2ページではちょっと物足りないと感じました。後章のパンフレットではボリュームアップを期待したいところ。
キャストコメントでは、声優さんご自身のキャラが出ていておもしろかったです。特に亜衣を演じた島袋美由利さんと凛を演じた大木咲絵子さんのコメントはテンション高めで(おそらく明るい方々なんでしょうね)、ご本人のキャラが出ていてよかったです。
キャラという意味では、小比類巻を演じた内山昂輝さんのコメントは真面目さが滲んでいてよかったし、ひろしを演じた諏訪部順一さんはすごく作品を俯瞰しているようなクールなコメントで、これまたよかったです。
キャストコメントが多いと、作品の見方をいろんな角度から提示してくれているようで、読んでいてとても楽しいです。
スタッフコメント
アニメーションディレクターの黒川智之さんと脚本の吉田玲子さん、そして美術監督の西村美香さんのコメントが掲載されてます。
黒川さんは、劇場版にする上で問題だったことや、主役の声を担当したおふたりに関することや、浅野いにおさんの意向であったり技術的なことであったり、制作の裏側がかなり幅広く語られていてとても読み応えがありました。
吉田さんは、原作に関する思いや、映画化するにあたって原作漫画を前章と後章に分割する難しさとか、門出と凰蘭のセリフについてだとか、脚本家目線で本作を深く語られていて、とても興味深かったです。キャラクターに関することにかなり言及されていて、吉田さんのコメントを読むと、作品のことや門出と凰蘭のことがより理解できる感じがしました。
吉田さんのコメントは必読!
お三方のコメントには、原作者の浅野いにおさんの意向や要望、アドバイスなどが結構具体的なことまで書かれていて、とても興味深く読みました。かなり風通しの良い現場だったことが想像できます。
『デデデデ』ならではの遊び心があるページ
本作を理解する上での重要な「キーワード」の説明や、登場する「ガジェット」の解説とか、そして謎の(?)キャラクター「イソベやん」の漫画が綴じ込みで掲載されていたり、遊び心があるページが多いのもうれしいところ。
「キーワード」や「ガジェット」って、本作の設定にはとても大事な部分なので、パンフレットにしっかりと掲載してくれたのはありがたかったし、そしてなんといっても「イソベやん」の漫画が読めたのはうれしかったです。
明らかに某猫型ロボットのオマージュ漫画だと思うんだけど、のび太くんの立ち位置のデベ子が(のび太くんて言っちゃった)結構ムカつくんですよね(笑)。のび太くん以上にムカつく(笑)。機会があれば読んで欲しいです。ちなみにこの綴じ込みイソベやんは、『デデデデ』第12集の限定特典「イソベやん オールカラー傑作選」からの抜粋らしいです。気になるし、読みたい…。
総評
可愛らしさと不穏さが同居している表紙デザイン、ポップさと不穏さのバランスが絶妙な中面デザイン。網羅性のある内容。デザイン、内容ともに満足度が高いパンフレットです。
文字数とイラストの量のバランスがいいので、比較的読みやすいパンフレットになってますよ。210mm × 210mm(正方形)というパンフレットのサイズ的にも読みやすいです。
お金を出して買う価値は十分にあると思いますよ。
これが1,100円(税込)で購入できるとは!お買い得!
本作『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』を気に入ったそこのあなた、そして『デデデデ 後章』を観ようと思っているそこのあなた、絶対に買ったほうがいいですよ。