『ファーストキス』パンフレットレビュー。松たか子&松村北斗初共演のタイムリープラブコメディ。

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今回は松たか子さんと松村北斗さんが初共演の映画『ファーストキス』のパンフレットを紹介します。

この映画は、『わたしの幸せな結婚』『ラストマイル』の塚原あゆ子さんが監督を務め、『花束みたいな恋をした』『怪物』の坂元裕二さんが脚本を担当。事故で亡くなった夫を救うため奮闘する妻の姿を描いたタイムリープラブコメディです。

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では、『ファーストキス』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!

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デザインレビュー

A5サイズ(66ページ)の小型パンフレット。個人的には小型パンフレットは好みなので、このサイズ感だけで好感度が高いです。

表紙は作品タイトル「1st KISS」の文字のみ。動きのある不思議なデザインですが…これはタイムリープを意味しているんでしょうか。あるいは過去と未来の間の今を表現しているんでしょうか。捉え方はさまざまなだと思いますが、とても印象的なタイポグラフィ(文字デザイン)です。特殊加工された印刷も凝ってますね。シンプルだけどいい!

ちなみに裏表紙には本編でも登場した生物のイラストが。この生物、なんだっけ?(笑)

中面はシンプルでオーソドックスなデザイン。

ですが、見出しタイトルである「INTERVIEW」や「COLUMN」には表紙のタイポグラフィのような動きのあるデザインが施されているんです。

デザインされた見出しタイトルが紙面のいいアクセントになっていて、読んでいて飽きがこないんです。生きた紙面になっていると言うんですかね。ちょっとしたデザインなんですけど、これぞプロの仕事!といった感じ。見事なデザインです。

そして、このパンフレットで特徴的なところは、本編に登場するアイテム(レシートなど)が綴じられている点。本作を観た人はもれなくニヤッとしちゃうようなアイテムです。このような遊び心があるパンフレットに出会うと、買ってよかったなぁなんてしみじみ思います。

他にはタイムリープの都度撮られたチェキも掲載されているし、超感動した駈のカンナに遺した手紙も掲載。あらためて読むと感動が蘇るし、泣けます。

あと細かいところで言うと、文字量は多いですが、文字の大きさや行間などが適切で読みやすいです。読みやすさは大事!

そして、掲載写真は本編のショットだけではなく、カンナと駈のカメラ目線の微笑ましいオフショットなどもありますよ。読み物としてだけではなくビジュアルでも楽しめます!

コンテンツチェック

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では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

キャストインタビュー、コラム、プロダクションノートと定番の記事が掲載されてます。コンテンツのバラエティ感はありませんが、しっかりと文字量があるので読みごたえありますよ。

インタビューは松たか子さん、松村北斗さん、脚本の坂元裕二さん、塚原あゆ子監督、撮影の四宮秀俊さんの5名。それぞれ2ページずつ掲載されてます。

松たか子さんは「脚本の魅力」「演じたカンナについての解釈」「松村北斗さんの印象」「坂元裕二さんについて」などに答えてます。松たか子さんらしいユーモアがあってフランクな受け答えは好印象。

「好きなところを発見し合うのが恋愛、嫌いなところを見つけ合うのが結婚」というカンナの印象的なセリフについての回答が既婚者ならではでなかなか面白かったです。

松村北斗さんは「作品の魅力」「本作の坂元裕二脚本らしさ」「演じた駈について」「松たか子さんの印象」などの質問に答えてます。真面目な好青年といった感じで、僕が持つイメージに近く、松たか子さん同様とても好印象なインタビューでした。

「結婚観」についても答えています。気になる方は多いのでは?

あと興味深かったのは、坂元裕二さんのインタビュー。「本作のモチーフ」「タイムトラベルについて」「松たか子さん評」「塚原あゆ子監督の演出について」「感動的なラストについて」などに答えてます。

脚本制作の秘密!というような感じではないですけど、本作で何を描きたかったのかがわかり、とても納得感のあるインタビューでした。あと「松たか子さん評」が面白かったです。

キャラクターの見せ方など演出のディテールについて多く語られた塚原あゆ子監督(読んでいて何となく芯の強さを感じた)、グレーディングや撮影におけるキーワードなど撮影ポイントを語られた四宮さんのインタビューも読みごたえがありますよ。

演者、監督、脚本、撮影という制作の中心人物のインタビューが読めるのはいいですね。いろんな角度から作品のことが語られるので、作品の解像度がグッと上がります。

贅沢を言わせてもらえるのなら、リリー・フランキーさん、吉岡里帆さん、森七菜さんのインタビューとまでは言わないけど、せめてコメントは欲しかったな(プロフィールだけの掲載)。登場人物が少ない作品なので、この際全員分読みたかったです。みんないい味出してたのでね。

コラムは小説家の凪良ゆうさん、翻訳家・作家のジェイ・ルービンさん(本作の英語版字幕の翻訳を担当)、早稲田大学文学学術院教授の岡室美奈子さん、映画評論家ほ町山智浩さんの4名が寄稿。

個人的には松たか子さんと坂元裕二さんの過去作を例に出しながら3ページに渡って展開される岡室さんの「くつ下」にまつわるコラムは読みごたえありました。確かに『カルテット』でも「くつ下」のくだりがありましたよねぇ。

坂元裕二さんへの熱い思い(というか感謝)を語られている凪良さん、本作のコラムの中でもっとも作品の詳細について解説されているジェイ・ルービンさん、圧倒的な知識量でいろんな作品を例に出しながら解説する町山さん。各々コラムの毛色が違って面白いです。

小説家、翻訳家、大学教授、そして映画批評家とバラエティに富んだラインナップ。そして映画パンフレットで4本のコラムが掲載されるのは多い方です。かなり充実していますよ。

その他にはプロダクションノートが5ページに渡って掲載されてます。読み物としてボリューミーだし、内容もかなり充実しています。塚原監督と脚本の坂元裕二さんの「くつ下」のシーンにまつわるエピソードには笑えました。塚原監督は結構さばさばしてるんですかね。

総評

シンプルでオーソドックスではあるもののセンスを感じるデザイン、バラエティに富んだインタビューやコラムなど読みごたえのある内容、本編に登場したアイテムが綴じられているという遊び心など、デザイン・内容共にとても充実した素敵なパンフレットです。

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ちなみにこのパンフレットは990円(税込)で購入できますよ。

本作『ファーストキス』を気に入った方には購入をオススメします。買って損はないですよ!

では最後に、パンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報と掲載内容をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:148mm × 210mm(A5縦型)
  • ページ数:66ページ
  • 発行者:大田圭二
  • 発行所:東宝株式会社ライツ事業部
  • 編集:株式会社東宝ステラ
  • テキスト:門間雄介(各インタビュー、プロダクションノート)
  • デザイン:大島依提亜、中山隼人
  • スチール:末長真、富永タカノリ
  • 印刷:共同製本株式会社
  • 発行日:2025年2月7日
  • 定価:990円(税込)
パンフレット掲載内容
  • イントロダクション
  • ストーリー
  • インタビュー/松たか子(硯カンナ役)
  • インタビュー/松村北斗(硯駈役)
  • キャストプロフィール
  • コラム/凪良ゆう(小説家)
  • インタビュー/脚本:坂元裕二
  • コラム/ジェイ・ルービン(翻訳家・作家)
  • コラム/岡室美奈子(早稲田大学文学学術院教授)
  • インタビュー/監督:塚原あゆ子
  • インタビュー/撮影:四宮秀俊
  • スタッフプロフィール
  • コラム/町山智浩(映画評論家)
  • プロダクションノート

おしまい。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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