映画パンフレットレビュー。杉咲花主演!柚木裕子原作の警察サスペンスミステリー『朽ちないサクラ』

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県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者・津村千佳が約束を破って警察の不祥事を記事にしたと疑うが、身の潔白を証明するために調査を開始した千佳が変死体で発見される。自責と後悔の念に突き動かされた泉は、捜査する立場にないにもかかわらず、千佳を殺した犯人を自ら捕まえるために動き始める…

『孤狼の血』シリーズの柚月裕子原作の警察ミステリー小説を、主演に『市子』『52ヘルツのクジラたち』の杉咲花を迎え、『帰ってきた あぶない刑事』の原廣利監督が映画化した『朽ちないサクラ』のパンフレットを紹介します!

レンツ
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ちょっぴり不穏な表紙デザイン、キャストインタビューが中心に展開されるパンフレット!萌えます!

ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:182mm × 257mm(B5)
  • ページ数:32ページ
  • 発行:カルチュア・パブリッシャーズ
  • デザイン:島田寛、本橋真由美(Bon)
  • スチール:市川唯人
  • 編集:望月麗奈(サンクレイオ翼)
  • 編集協力:小嶋恵理
  • 取材・文:SYO(杉咲花、豊原功補、安田顕)、須永貴子(萩原利久)
  • 印刷:久栄社
  • 発行日:2024年6月21日
  • 定価:1,000円(税込)
パンフレット掲載内容
  • INTRODUCTION
  • STORY
  • CHARACTER(相関図)
  • キャストインタビュー/杉咲花、萩原利久、豊原功補、安田顕
  • キャストプロフィール
  • 柚木裕子(原作者)コメント
  • スタッフプロフィール
  • 原廣利監督インタビュー
  • プロダクションノート
レンツ
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では、『朽ちないサクラ』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!

デザインレビュー

表紙デザイン

B5サイズ(182mm×257mm)のパンフレット。

全面に夜桜。不穏さが漂っていて、とても雰囲気のある表紙デザイン。光沢のないマット紙に印刷されているんですが、紙質と夜桜(の写真)の相性がいいんでしょうね。非常に上品さを感じます。

『朽ちないサクラ』のタイトルの「ち」の右側に桜の花びらが見えますが、一瞬ゴミが付いてるのかと思いました。この花びらは消しておいた方がよかったような(細かいことですけど結構大事)。

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裏表紙も夜桜。うん、やっぱり雰囲気がいい。

中面デザイン

基本的には、紙の白地をベースに、黒の明朝体が使用。掲載されている写真は角版。見開き全面に写真が掲載されている大胆なページがあり、本パンフレットのアクセントになってます。

全体的に余白がうまく使われているので、圧迫感がなく、読みやすいデザインになってますよ。

レンツ
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いい意味で癖のないオーソドックスなデザイン!

コンテンツチェック

「キャラクター相関図」「キャストインタビュー」「原廣利監督インタビュー」「プロダクションノート」などが掲載されてます。

コンテンツ的にはやや物足りなさはあるものの、本パンフレットのメインディッシュである主要キャスト4人(杉咲花さん、萩原利久さん、豊原功補さん、安田顕さん)の単独インタビューはとても読みごたえがありますよ。

レンツ
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では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

キャストインタビュー

杉咲花さん、萩原利久さん、豊原功補さん、安田顕さん、それぞれ見開き2ページずつ(計8ページ)で展開されるキャストインタビューは、真面目で誠実な杉咲花さん、爽やかで正直な萩原利久さん、大人の魅力を感じさせる豊原功補さん、そして脱力感があり独特な雰囲気を醸し出している安田顕さんと、皆さんのキャラクターがよく表れていて、かなりおもしろいです。

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そんな中、杉咲花さんと豊原功補さんのインタビューは特によかったです!。

まず、杉咲花さんのインタビュー。

杉咲さんは、脚本の開発段階から参加されていたそうで、このエピソードだけで杉咲さんの本作への意気込みや物作りへの真摯な姿勢が伝わってきます(原廣利監督も感動していた!)。

ご自身が演じた森口泉という人物のことをどのように理解し演じていたのかという、役作りや演技についての言及があるんですが、ありきたりな言葉ではなく、ご自身の言葉として話されていることがわかる表現で、めちゃくちゃ感心しちゃいました。

演じる役への深い理解力があるからこそ杉咲さんの演技には惹きつけられるものがあるんだと納得できる内容のインタビューで、凄味すら感じました。杉咲花出演作品は今後も見逃したらダメだなとあらためて感じましたよ。

そして豊原功補さんのインタビュー。おもしろいです。

本作の内容的なことは社会性と絡めて大局的な視点でまじめに語られたり、撮影中のエピソードはユーモアを交えて語られたり(アドリブがカットされたくだりとか笑えた)、とてもメリハリの効いたインタビューで楽しく読みました。豊原功補さんの魅力が爆発してます。

インタビューの最後に余談として、豊原功補さんの好きな「社会性×娯楽性」の映画について言及されているのもよかったです。本作とはあまり関係のない話なんですが、豊原さんのパーソナルな部分が垣間見られるのはいいですね。映画パンフレットのキャストインタビューで「余談」があるのは結構珍しいかも。

ちなみに、豊原さんにインタビューしているのはSYO氏(物書き)。この方の質問には「即興性」があっておもしろいんですよね。キャストが答えたことに対して臨機応変に問いかけるんです。豊原さんの最後の質問もおそらく前もって準備していた質問ではないんじゃないですかね。パンフレットのインタビューやコラムでSYO氏にはちょこちょこ出会うので、今後もSYO氏のインタビュー、あるいはコラムを楽しみにしたいなと個人的には思います。

原廣利監督インタビュー

原作小説『朽ちないサクラ』を映画化したいと思った決め手や映像化において難しかったこと、そして杉咲花さんらキャスト陣への言及や撮影中のエピソードや裏話など、制作過程のことを幅広く語られています(杉咲花さんのふせんのくだりと豊原功補さんの衣装合わせのくだりは笑えました)。

そんな中、原監督が原作小説で感じた「不穏さ」の表現の難しさについての言及が興味深かったです。小説だと言葉があるから比較的「不穏さ」って伝わりやすいけど、映像って難しいですもんね。特にサスペンスものだとあからさまに表現すると面白味が欠けちゃいますもんね。

どのようにして「不穏さ」を演出したのか、小説の映像化の難しさをあらためて感じさせられた原監督のインタビューはとても興味深いです。

ここが惜しかった!

キャストインタビューのクオリティが高かったので、この際本作のキーパーソンである津村千佳を演じた森田想(こころ)さんのインタビューも読みたかったです。見開き2ページは無理だとしても、せめて1ページくらいは掲載して欲しかった。とても印象的な演技を森田さんは見せてくれたので、どのような思いで千佳を演じたのか知りたかったです。

あとは、コラムの掲載がないのも残念。主人公・森口泉の角度から、富樫や警察の角度から、評論のしがいがある内容だと思うんですけどね。

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パンフレットとしてのクオリティは高いだけに、惜しい!といった感じです。

総評

不穏さが漂っていて、とても雰囲気のある全面夜桜の表紙デザイン。余白をうまく使ったシンプルで読みやすい中面デザイン。共にグッドです。

「キャストインタビュー」「監督インタビュー」「プロダクションノート」などコンテンツ的にはオーソドックスですが、「キャストインタビュー」はキャストの皆さんのキャラクターが出まくっていて必読。

デザイン、内容ともに完成度の高いパンフレットです。

お金を出して買う価値は十分すぎるほどにありますよ。

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これが1,000円(税込)で購入できるとは!買って損なし!

本作『朽ちないサクラ』を気に入ったそこのあなた、パンフレットのご購入をオススメしますよ。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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