今回は人気お笑いコンビ・空気階段の水川かたまりさん初主演の映画『死に損なった男』のパンフレットを紹介します。
この映画は、長編デビュー作で数々の映画賞を受賞した『メランコリック』の田中征爾さんが監督を務め脚本も担当。幽霊に取り憑かれ、ある男の殺人依頼を受ける「死に損なった男」が辿る数奇な運命を描いたホラーコメディです。

では、『死に損なった男』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!
デザインレビュー

168mm × 226mm(44ページ)の変形サイズのパンフレット。
表紙の左下に「決定稿」とあったり、右開きで中面は縦書き、サイズ感や質感など、全体的に台本のような雰囲気が感じられます(台本なんて貰ったことないけど 笑)。
水川かたまりさん演じる関谷一平は構成作家。構成作家は台本を書いたりするので、台本がモチーフになっているのではないでしょうか。
では、デザインをもう少し詳しく見ていきましょう。
まずは表紙。タイトル「死に損なった男」の「損」の字が少し歪んでいたり、表紙上部には靴紐が解けた足、「男」にぶら下がっているメガネ。めちゃくちゃ意味深なデザインです。
特に「男」にぶら下がっているメガネは死に損なった感(命が繋がった感)があり、いい表現だと思いましたよ。

ちなみに裏表紙にはたい焼き。かわいい(笑)
中面は、罫線や吹き出し、写真の入れ方等が可愛らしく、ややポップ寄りなデザイン。そのポップさの塩梅が絶妙で、センスを感じました。上手いデザインです。
「第9回 X-1グランプリ」という架空のコンテストのエントリーミニチラシが綴じられていたり、遊び心がある点もグッドです。
コンテンツチェック

では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。
インタビュー、コラム、プロダクションノートと定番の記事が掲載されてます。コンテンツのバラエティ感はありませんが、しっかりと文字量があるので読みごたえありますよ。
インタビューは水川かたまりさん、田中征爾監督の2名で、それぞれ3ページずつ掲載されてます。
水川かたまりさんは「主演のオファーを受けた時のこと」「脚本を読んだ時の感想」「演じた関谷一平について」「撮影の現場体験」「コントと映画での芝居の違い」「完成した作品を観た時の感想」などについて答えてます。
おもしろおかしい回答があったり、真面目な回答があったり、水川かたまりさんの魅力が詰まったインタビューになってます。
主演のオファーを受けたときの率直な思いや、撮影現場を体験したときの感想がとても素直でお笑い芸人らしくて面白かったです。本作でのバディを演じた正名僕蔵さんとのコミュニケーションのくだりは笑えました。
コントと映画の芝居の違いや完成した作品を観た時の感想は、かたまりさんの真面目なところが垣間見られます。ご自身もコントを作ったりドラマの脚本を書いたりするので、今回の撮影で何かを掴んだのでは。インタビューを読んでそんな風に思いました。
俳優として、脚本家として今後の活躍がもっと期待できるし、いずれ映画を撮るのではないかと、そんな未来が見えましたよ。
あと、かたまりさんはインタビューの他にキャスト紹介のところでコメントを寄せていますが、これがまさにお笑い芸人!といった感じのコメントで面白いです。ちなみにここで初めてかたまりさんの本名を知りました(笑)
田中征爾監督は「本作の着想について」「脚本について」「主人公がお笑いの構成作家という設定について」「水川かたまりさんと正名僕蔵さんの芝居について」「キャスティング」「初の商業映画の撮影について」「オマージュ作品」「本作の手ごたえ」などについて答えてます。
僕は田中監督の前作『メランコリック』が大好きなこともあって、興味津々で読みました。
田中監督の頭の中が少し覗けるような内容で、このインタビューを読んでから本作をもう一度観たら、観え方が少し変わるかも。もっと言うと、前作『メランコリック』の観え方も変わるかもしれないなと思いました。(『メランコリック』をまだ観てない方は面白いのでぜひ観て欲しい。)
田中監督の人物設定のセオリーのような企業秘密に近いようなことが書かれていたり、オマージュ作品が多数挙げていたり、かなり突っ込んだ回答をされています。
質問に対してしっかりと答えられているので、とても読みごたえがあるインタビューになってますよ。
コラムは映画評論家の森直人さん、文筆業の奈々村久生さんの2名が寄稿。
森直人さんは「もし日本に田中征爾が5人いれば、この国のエンタメシーンが変わるかもしれない」というタイトルのコラムを寄稿されてます。このタイトル通りで、森直人さんはかなり田中征爾監督を買っていますね。
田中征爾監督褒めまくりコラムです(笑)
長編デビュー作『メランコリック』に触れつつ田中監督の内在性について書かれていたり、いろいろな作品を例に出しつつ関谷一平(水川かたまり)と森口友宏(正名僕蔵)のキャラクターや関係性を解説されてます。
森さんのコラムは本作の内容を上手に言語化されているので、理解の手助けになりましたよ。
奈々村久生さんは「笑いと演技のシネマティックな関係」というタイトルのコラムを寄稿されてます。
絶対に空気階段好きでしょ、って思えるコラム。妖精おじさん「俺っち」とか「クローゼット」「タクシー」といったコント名まででてくるとは、ガチですね。空気階段のコントに詳しいし、よく観てるなぁと感心。
かたまりさんの過去の出演作や脚本にも触れられていて、読むとかたまりさんに興味津々になる、そんなコラムです。
プロダクションノートは「企画の経緯」「キャスティングについて」「撮影について」「ポストプロダクションから完成へ」と、4つの章に分けて制作過程が順序立てて詳細に書かれています。
どのようにして本作の企画が立ち上がったのか、なぜ主演は水川かたまりさんだったのか、そして田中監督の撮影っぷりなどが上手にまとめられています。
特にキャスティングに関してはかなり難航したようですが、水川かたまりさんと正名僕蔵さんをキャスティングした理由には納得。
リアリティという意味でもかたまりさんの抜擢は絶妙だったし、間違いなく大正解だと思いますよ。
総評
台本をイメージさせる装丁、ポップさの塩梅が絶妙なデザイン。インタビューやコラムなど読みごたえのある内容。デザイン・内容共によくまとめられた素敵なパンフレットです。

ちなみにこのパンフレットは900円(税込)で購入できますよ。
本作『死に損なった男』を気に入った方には購入をオススメします。買って損はないですよ!
では最後に、パンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報と掲載内容をどうぞ。
- サイズ:168mm × 226mm(縦型)
- ページ数:44ページ
- 発行:株式会社クロックワークス
- 編集:山本ひなの(株式会社クロックワークス)
- 編集協力:森直人
- デザイン:早瀬慧(restafilms)
- 印刷:三栄印刷
- 発行日:2025年2月21日
- 定価:900円(税込)
- Introduction
- Story
- キャストプロフィール
- インタビュー/水川かたまり
- インタビュー/田中征爾(監督・脚本)
- コラム/森直人(映画評論家)
- コラム/奈々村久生(文筆業)
- プロダクションノート
- スタッフプロフィール
おしまい。