鬼才M.ナイト・シャマラン監督作品『TRAP トラップ』パンフレットレビュー。

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クーパーは溺愛する娘ライリーとともに世界的歌手レディ・レイヴンのライブ会場に到着するが、続々と集まる警察官や異常な数の監視カメラなど、ライブ会場の異常さに気づく。このライブ会場が指名手配中の切り裂き魔を逮捕するためのトラップになっているという情報を得たクーパー。だが、優しい父親にしか見えないクーパーこそが残虐な殺人鬼だった……

『パール・ハーバー』『オッペンハイマー』のジョシュ・ハートネットを主演に迎え、『シックス・センス』『アンブレイカブル』『オールド』など独特な世界観の作品を世に送り出してきた鬼才M.ナイト・シャマラン監督が描いたサスペンススリラー『TRAP トラップ』のパンフレットを紹介します!

レンツ
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まるで本作『TRAP トラップ』の世界観を表現したかのような、赤を基調にした緊張感が漂うデザインのパンフレット!萌えます!

ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。

パンフレット基本情報
  • サイズ:210mm × 297mm(A4)
  • ページ数:28ページ
  • 発行承認:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社
  • 編集・発行:松竹株式会社 事業推進部
  • 編集:神山和範(松竹)
  • デザイン:奥村香奈(ヒグラシデザイン)
  • 発行日:2024年10月25日
  • 定価:900円(税込)
パンフレット掲載内容
  • INTRODUCTION
  • STORY
  • インタビュー/M.ナイト・シャマラン監督
  • インタビュー/ジョシュ・ハートネット
  • 殺人鬼ブッチャーの逃走/解説:村山章(映画ライター)、イラスト:フクイヒロシ(イラストレーター)
  • インタビュー/サレカ・シャマラン
  • キャストプロフィール
  • レビュー/長谷川町蔵(文筆家)
  • レビュー/冨塚亮平(神奈川大学 准教授)
  • インタビュー/岩名謙太(お化け屋敷プロデューサー)
  • シャマラン映画診断チャート
  • プロダクションノート
  • スタッフプロフィール
レンツ
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では、『TRAP トラップ』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!

デザインレビュー

表紙デザイン

A4サイズ(210mm×297mm)のパンフレット。

ティザービジュアルと本編のライブシーンで印象的だった赤を基調としたデザイン。

表紙は左上に作品名「TRAP」、右下に「LADY RAVEN SOURCE OF THE BLEEDING TOUR」という本編に登場する世界的歌手レディ・レイヴンのツアータイトルが配置。ツアーパンフレットをイメージした表紙デザイン(なのかな?)。

中面デザイン

中面は赤いテクスチャを背景に敷いてデザインを展開。色味が赤ということもあって、緊張感がある雰囲気に仕上がってます。

1ページに掲載されている文字量は多くも少なくもなく適量(個人的感想)。インタビューページには質問部分にアンダーラインが引かれていて、読みやすくなる工夫が施されていますよ。

全体的にデザインはシンプルだけど、本作『TRAP トラップ』の雰囲気が表現されていてグッドです。

コンテンツチェック

レンツ
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では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。

「監督インタビュー」「キャストインタビュー」「レビュー」などの王道記事はもちろんのこと、プラスして「殺人鬼ブッチャーの逃走」「シャマラン映画診断チャート」という遊び心のあるページも掲載されてます。

ページ数、文字数ともに適量で(個人的感想)、内容は充実しているけど気負わずサクッと読める点も本パンフレットのグッドポイント。

満足度が高く、買ってよかったと思えるパンフレットですよ。

M.ナイト・シャマラン監督インタビュー

本作『TRAP トラップ』の企画の始まり、映画の作り方、ジョシュ・ハートネットをはじめとするキャストについて、実の娘であるサレカ・シャマラン演じるレディ・レイヴンについて、フィルム撮影について、スタッフとの仕事についてなど、シャマラン監督のプロフィールを含め全4ページに渡って掲載されてます。

なかなかボリューミーで読みごたえありますよ。

特に本作で印象的な「ライブシーン」の撮影についての言及が興味深かったです。

あの臨場感をどのように演出したのか個人的に気になっていたので、その点に言及されているのは嬉しかったです。

(ライブシーンについては、サレカ・シャマランのインタビューやプロダクションノートでも触れられていて、撮影の裏側がより詳細にわかります。そして、どのようにして30,000人もの観客をライブシーンに登場させることができたのか、そのへんの秘密も知ることができますよ。)

他には、フィルム撮影についての言及も印象的でした。

「制限がある中で仕事をすることが、最高の作品を生み出す方法だと思う」というデジタルよりフィルム撮影を好むシャマラン監督の言葉に納得しました。

制限や制約があるからこそ、その中で工夫し最善を選択し、素晴らしいクリエイティブが生まれるんだと思います。デジタルだと情報量は多いし加工も容易だし、何より無制限に撮影できてしまいますからね。そして、どんなものでもそれなりにクオリティ高く仕上がってしまう。

一応僕もクリエイターの端くれなので、シャマラン監督の言葉はとても理解できます。

そして、レディ・レイヴンというキャラをどのように作り上げたのかという、これまた気になることにも言及されてます。

娘であるサレカとのやりとりや、彼女へのリスペクトが語られていて、いい父娘関係だなぁなんて、ちょっとほっこりしたり。(逆にサレカのインタビューでは父であるシャマラン監督へのリスペクトが語られてますよ。)

シャマラン監督の作家性が生まれる理由のようなものがわかり、とても有意義なインタビューでしたよ。何だか、シャマラン監督のことが好きになりました。

レンツ
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まだ観てないシャマラン作品があるので、近々観てみようかな。

サレカ・シャマランインタビュー

サレカ・シャマランのインタビューも面白い。

「スタジアムツアーをやるつもりで準備をした」と語っていて、いかにレディ・レイヴンになりきろうとしていたのか、本気度が伝わってきました。

サレカは間違いなく本作のMVP。実在のアーティストのように曲を作り、ライブパフォーマンスを見せ、演技もやる。サレカの真摯な姿勢が見えるインタビューは必読ですよ。

おもしろいレビュー2本

シャマラン監督作品をファミリー映画として解説する「罠にかかったパパ 〜 ファミリー映画としての『トラップ』」と題した長谷川町蔵氏のレビューと、シャマラン監督作品の総括をする「"目覚め"から"継承"へ M.ナイト・シャマランの30年」と題した冨塚亮平氏のレビューの2本が掲載。ともに面白かったです。

長谷川氏のレビューは特に面白かった。そうか、『トラップ』はファミリー映画だったのか!と思わず納得させられました。シャマランとサレカ、クーパー(ジョシュ・ハートネット)とライリー(アリエル・ドノヒュー)を重ね合わせている、という解説は面白かったです。

本作はラストのどんでん返しが無くて、個人的には物足りなさを感じていたけど、シャマラン作品の良さってそこじゃないことがよくわかる長谷川氏のレビュー。秀逸。

冨塚氏はシャマラン監督のキャリアを「初期1992-2002」「低迷期2003-2013」「復活期2014-2024」の3つにわけて解説してます。シャマラン監督作品の総括をしてくれているので、シャマラン監督の浮き沈みがわかるこれまた素晴らしいレビュー。

シャマラン監督は「時代によって緩やかにスタイルを変えながら観客を困惑させてきた」と言及。なるほど。シャマラン監督はスタイルを変えてきてるのなら、僕も(観る側)もシャマラン作品の見方を変える必要があるのかな。

その他オススメページ

他には「殺人鬼ブッチャーの逃走」と題したブッチャーのトラップ回避術をイラストで解説するページや、「シャマラン映画診断チャート」という観るべきシャマラン作品をチャートで誘うというページがあり、とても遊び心のあるコンテンツが掲載されてます。

ブッチャーのトラップ回避術をイラストでまとめて見ると、酷いやつだなぁと思ったり滑稽に見えるところもあったりして、もしかしたらこの男は愛すべき殺人鬼なのかもしれない!って思っちゃいました。

全部で9つのトラップ回避術が掲載されてますよ。イラストがコミカルな雰囲気で面白いです。

「シャマラン映画診断チャート」では、A〜Gまで7パターンに分類されます。ゲーム感覚でできるので面白いですよ。

ちなみに僕はCでした。観るべき作品は『サイン』と『ヴィジット』。早速観てみようと思います。

そして忘れてはならないのが、お化け屋敷プロデューサーの岩名謙太氏のインタビュー。

お化け屋敷プロデューサーをシャマラン作品、それも『トラップ』でインタビューを敢行するセンスがグッドです(もっとホラー味のある作品が他にもあったはずですが)。

岩名氏のインタビューを読むと、シャマラン作品とお化け屋敷プロデュースの共通点に言及されていて、ちょっと納得してしまいました。なぜお化け屋敷プロデューサーにインタビュー?とか思ってましたけど、思っている以上に面白いインタビューでしたよ。シャマラン作品とお化け屋敷のマリアージュは大成功。

総評

映画パンフレットととしてはページ数はそれほど多くないですが、読むべきところがギュッと詰まった無駄のない濃厚なパンフレットです。

本作『トラップ』のことだけではなく、過去のシャマラン作品に関することも多く書かれています。シャマラン作品にあらためて興味がわくような内容になってます。

本作でシャマラン作品に興味を持った方には特にオススメできるパンフレットですよ。

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これが900円(税込)で購入できるとは!買って損なし!

本作『TRAP トラップ』を気に入ったそこのあなた、パンフレットのご購入をオススメしますよ。

レンツ

映画大好き(おじさん)デザイナー。1男1女の4人家族の細大黒柱。オールタイムベスト映画はトレインスポッティング(1996)、ブレードランナー(1982)、ファーゴ(1996)。甘いラブストーリーはちょっと苦手。

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