ボアザン星のプリンス・ザルドス率いる軍隊が地球を襲撃し、地球は大ピンチに。秘密裏に製造されていた5機のマシンにスティーブ、ビッグ・バート、リトル・ジョンのアームストロング3兄弟とマーク・ゴードン、ジェイミー・ロビンソンの5人が乗り込んで出撃する。そして5人は「レッツ・ボルトイン!」のかけ声とともにマシンを合体させ、巨大な人型ロボット「ボルテスV」となって立ち向かう…
1977年に日本で放送された名作ロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)」を、約半世紀の時を経てフィリピンで実写映画化。
オリジナル版の熱心なファンだというマーク・A・レイエス監督がメガホンをとり、フィリピン版にはなかったシーンの追加を含む再編集およびリマスター作業を施した『ボルテスV レガシー』のパンフレットを紹介します!
子ども心をくすぐる凝ったデザインに脱帽!ボルテスV過ぎるレガシーなパンフレットに萌えます!
ということで、まずはパンフレット制作に尽力された方々へのリスペクトを込めて、パンフレットの基本情報をどうぞ。
では、『ボルテスV レガシー』のパンフレットを詳しく見ていきましょう!
デザインレビュー
表紙デザイン
B5サイズ(182mm×257mm)のパンフレット。
「書店の回転ラックに置いてある子ども向け絵本」テイストなデザインで、とても凝ってます。
ちなみにパンフレット本体はスリーブ(カバーのようなもの)に入っていますよ。
写真左がスリーブ、右側パンフレット本体。
スリーブの表面に様々な角度から見たボルテスVの全身が、裏面にはVの字斬りの勇ましいボルテスVの姿が、パンフレット本体の表紙にはボルトマシーン5機が、裏表紙には様々な武器がそれぞれ描かれてます。ボルテスVのすべてが描かれているといっても過言ではない!
スリーブと表紙、裏表紙は印刷でヨレた風合いを表現。少しノスタルジーを感じさせる見事なデザイン。
中面デザイン
中面は東南アジアを感じさせる派手で独特な配色で展開されてます。上質紙が使われているので、色味が少しくすんでいるのもレトロな雰囲気が感じられてグッド。
文字は「子ども向け」テイストでやや大きめ。そして漢字にはすべてルビ(ふりがな)がふってあるという徹底ぶり。文字量が多いので大変な作業だったと思いますよ。デザイナーさん、ルビぶりお疲れさまです。
「子ども向け絵本」っぽさを感じさせるデザイン。経年を表現した印刷。そしてスリーブ入りという仕様。かなり凝ったデザインのパンフレットです。このデザインの素晴らしさだけでも買ってよかったと思いましたよ。
映画パンフレットデザイン界のレジェンド、大島依提亜氏デザインのパンフレット。いつも素敵なデザインをありがとうございます!
コンテンツチェック
では、パンフレットに掲載されている内容をピックアップしてレビューしていきますね。
「前日譚」「キャラクター紹介」「監督インタビュー」「設定資料」「TVアニメ ボルテスVについて」「コラム」「レビュー」などなど、全60ページで展開される内容充実のパンフレット。
『ボルテスV』の物語に関する記事が中心の前半
パンフレット前半は『ボルテスV』の物語に関する記事が中心となってます。
まず「前日譚」が掲載されているのにはビックリ。映画パンフレットで前日譚が掲載されてるのは稀だし、この「前日譚」が超重要。
もちろん僕のように、ボルテスVのことをほとんど知らない人間が、いきなり本編を観ても十分楽しめる作品ではあります。しかし、前日譚を知っているのと知らないのとでは、作品の見方や理解度が全然変わってくると思うんです。
ボアザン帝国との因縁やアームストロング兄弟の出生の秘密などが書いてあったり、本作をより楽しむための肝が書いてあるので、これは絶対に読んで知っておいた方がいいです。
ちなみに相関図にもしれっと知らない人物が出てたりします(正確にはエンドロールの合間に登場したけど超重要人物!)。
本編で描かれない重要な物語をパンフレットで知る、という新たなパターンですね(笑)
「前日譚」の他には、ボルテスチームとボアザン帝国(地球征服軍)に分けて展開されるキャラクター紹介やコラム(というか豆知識)、ボルテスVのメカニック紹介、ビースト・ファイターの紹介など、本編をおさらいするには十分過ぎるほどの内容が掲載。
特にビースト・ファイターの紹介では、フィリピン版テレビシリーズに登場したビースト・ファイターが紹介されていたり、プラスアルファの情報が掲載されているのは嬉しいところ。
「前日譚」は必読!一本映画が作れるんじゃないかというくらい濃厚な前日譚です。
マーク A. レイエス V監督インタビュー
そして、パンフレット中盤あたりに、僕がいちばん読みたかったマーク A.レイエス V監督のインタビューが掲載。シニア・エグゼクティブ・プロデューサーであるラーソン・チャン氏との対談形式になってます。
数あるロボットアニメの中でなぜボルテスVなのか、撮影するまでの経緯、撮影のエピソードや裏話、そしてフィリピン版テレビシリーズのボルテスVについてなどを語っています。
なぜボルテスVなのか、という点は僕も興味があったので、言及されていたのは嬉しかったです。フィリピンの社会的なところが大きいようで、本作を観て、なるほどと合点がいきましたよ。
フィリピン版TVシリーズのボルテスVの人間ドラマに関する言及は興味深かったし、コロナ禍によって撮影に時間がかかってしまったことによるアクシデントとしてのリトル・ジョンのエピソード、そしてフィリピン版テレビシリーズの話数が10話増えたエピソードには笑えました。いろいろと苦労してるんですね(苦笑)。
本作のことというよりTVアニメ版ボルテスV、そしてフィリピン版TVシリーズボルテスVについての言及が多いんですが、監督の思いや制作の裏側を知ることができて、とても有意義なインタビューでしたよ。
『TVアニメ版ボルテスV』に関する記事が中心の後半
パンフレット後半は、『TVアニメ版ボルテスV』に関する記事が多く掲載。
TVアニメ版ボルテスVにまつわるコラム的なページや、TVアニメ版の脚本を担当した辻真先氏(御年90歳を超えてまだ現役の小説家!)のレビュー、アニメーション監督・長浜忠夫監督についてのコラム、TVアニメ版ボルテスVの主題歌を歌った堀江美都子氏のインタビューなど、ボルテスVの世界にぐいぐい引き込まれるコンテンツが盛りだくさんに掲載されてます。
辻真先氏(TVアニメ版脚本)インタビュー
特にアニメ版脚本の辻真先氏のインタビューは当時の事を詳細に語っていておもしろいです。
美形敵キャラ誕生の話とか、『長浜ロマンロボアニメ三部作』と呼ばれるくらいに影響力のあった長浜氏のこと、「差別」がテーマだったことなど、TVアニメ版ボルテスVについて幅広く言及されています(テーマがシビア過ぎて驚いた)。
TVアニメ制作に直接関わった辻真先氏のインタビューは間違いなく必読中の必読。
堀江美都子氏(TVアニメ版主題歌歌手)インタビュー
TVアニメ版主題歌を担当した堀江美都子氏のインタビューが掲載されているのも嬉しいですね。
女性初のロボットアニメ主題歌歌手。すごい。ちなみに『キャンディ キャンディ』の主題歌も歌われていたり、『秘密戦隊ゴレンジャー』の主題歌にも参加しているらしいです。もはやレジェンド。
本作では別の方(フィリピンの人気女優で歌手のジュリー・アン・サン・ホセという方)が歌っているんですが、オリジナルで聴きたかったな、というのが本音(ジュリー・アン・サン・ホセさんの歌も十分素敵!)
TVアニメ版ボルテスVの主題歌を歌うことになった経緯やイベントでフィリピンに行った時のエピソードなど、かなり興味深い話を語っています。とても面白いインタビューですよ。
レビュー&コラム
アトロク(TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の略称)のアニメ紹介でお馴染みの藤津亮太氏(アニメ評論家)のレビュー、竹之内円氏(映画ライター)のコラムも興味深く読みました。
「国境と時を越え、バトンはいかにつながれたのか」と題したTVアニメと実写版の共通点などに言及した藤津氏のレビューも面白いんですが、「ボルテスVを求めて」と題した竹之内円氏の「超合金」コラムがおもしろい。超合金、持ってたなぁなんてちょっぴりセンチメンタルな気持ちになりました(「戦国魔神ゴーショーグン」の超合金持っていたような記憶がうっすらとあります。ゴーショーグン、知ってます?)。
ちなみにROBOT魂(フィギュアのブランド名)で2025年の2月に『ボルテスV レガシー』フィギュアが発売されるそうな。値段は10,000円。これが高いか安いかはあなた次第です(意味不明)。先立つものがあれば、欲しいですね。
総評
子供心をくすぐるテンションの上がるデザイン、充実すぎる内容のパンフレット。
本パンフレットを読むと、ボルテスVに興味がわいて、TVアニメ版ボルテスVを観たくなりますよ。
これが1,500円(税込)で購入できるとは!買って損なし!
本作『ボルテスV レガシー』を気に入ったそこのあなた、パンフレットのご購入をオススメしますよ。